検索機能の柔軟性が低く、お客さまごとの多様な検索ワード表現に対応できなかった
- 分析機能が限られており、最適なPDCAサイクルをまわせなかった
- お問い合わせフォームとFAQを連携する仕組みがなかった
- 様々な表現で検索可能なFAQに改善され、記事到達率が目標の80%を達成
- 修理受付のWeb化率が昨対比7ポイント向上
- 豊富な分析機能とカスタマーサクセスの伴走支援により、明確な改善サイクルを回すことができるようになった
- お問い合わせフォームとFAQを連携し、Web経由の問い合わせを30%削減
- 国際基準のサポート体制公開格付け調査にて、検索のアシスト性が評価され、最高評価の三つ星を獲得
- よりお客さまに満足いただくため、顧客満足度を測るKPIを検討
- 製品やサービス選びにもHelpfeelを活用し、会社に利益貢献できる取り組みにしたい
ガス給湯器や温水式床暖房、ガスコンロなど、温水空調分野、厨房分野のトータル事業を国内外で展開する株式会社ノーリツ。生活になくてはならない家庭のインフラを支える製品を扱う同社では、全国に5拠点のコンタクトセンターを設け、お客さまからの製品の修理・点検受付やお困りごとの相談に対応しています。
こうしたコンタクトセンターの運営支援を行う同社のお客さま室業務サポートセンター第1チームでは、「お客さまのニーズを捉え、価値を届けること」をミッションに掲げ、顧客接点の強化に努めています。この一環として、Webを起点としたお客さまとのつながりを強固にするため、検索型AI-FAQ「Helpfeel」を導入しました。
同社ではHelpfeelを導入した結果、Web経由の問合せを30%削減と、修理受付のWeb化率の向上を実現しています。また、世界最大のサポートサービス業界のメンバーシップ団体である「HDI-Japan」が主催する2024年公開格付け調査の「問合せ窓口格付け」「Webサポート格付け」両部門において、最高評価の三つ星を2年連続で獲得しています。
Helpfeel導入の背景にあった課題や活用方法、導入効果について、お客さま室業務サポートセンター第1チームの本 知世様、森田 梢様にお話を伺いました。
暮しを支える商品だからWeb上でも迅速にお困りごとを解消したい
本様 ノーリツのお客さま室は、「すべてはお客さまのために」という基本理念のもと、デジタルを活用して「人の価値」を最大限に活かす組織を目指しています。

お客さまからの問い合わせを受けるコンタクトセンターは計5拠点あり、修理・点検受付や商品に対する問い合わせに対応しています。
私たちが所属する業務サポートセンター第1チームでは、お客さまからの問い合わせや修理受付を行うコンタクトセンターの運営支援、Webや自動音声対応などのシステム部分の対応を担当しています。日常生活に密着した給湯器を支える『縁の下の力持ち』として、お客さまのお困りごとに迅速に対応しています。
本様 当社の問い合わせの繁忙期は10月〜2月で、通常時の約2倍に膨らみ、コンタクトセンターへの負担が非常に大きくなります。
当社の製品は操作パネルにコンタクトセンターの電話番号を記載していますので、どうしても電話での問い合わせは多くなりますし、高齢の方はWebよりも電話を好む傾向があります。そのため、入電件数を大幅に削減することは困難ですが、FAQを通じてお客さまの自己解決を図ることで問い合わせ自体を減らしつつ、お客さまとのWeb上でのつながりを強固にしたいと考えていました。
森田様 特に「お湯が出ない」という緊急性の高い内容は多く寄せられます。ひと口にお湯が出ないといっても、「蛇口からお湯が出ない」のか「自動のお湯はり機能でお湯が出ない」のかによって解決方法が異なります。従来のFAQツールではお客さまの意図を汲むような細やかな調整ができないことを課題に感じていました。
加えて、その状況を改善しようにも抽出できる分析データが乏しく、問題点の把握もままならない状態だったんです。そこで、お客さまにもっと寄り添って情報を提供するためにFAQシステムを見直すことにしました。

—— Helpfeelを選んだ決め手を教えてください。
本様 複数のFAQシステムを検討した結果、機能性、管理画面の使いやすさ、コスト面などでもっとも評価が高かったのがHelpfeelでした。中でも「検索性の高さ」と「問い合わせフォーム機能」「管理画面の使いやすさと豊富な分析機能」が決め手です。
給湯器は年齢を問わず幅広いお客さまがご利用されます。取扱説明書に記載された表現に限らず、実際に検索されるキーワードは千差万別です。例えば、給湯器の「リモコン」ひとつとっても「操作パネル」と呼ぶ方もいれば「画面」と呼ぶ方もおられます。こうした表記揺れに柔軟に対応できれば、お客さまが求める情報を届けられると考えました。
KeyPoint01
FAQを通じてお客さまの自己解決を図りつつ、お客さまとのWeb上でのつながりを強固にしたい
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AI検索アルゴリズムとデータに基づく改善活動により、顧客利便性の向上を目指す
── Helpfeelを導入し、どのようなことを目的にして運用を始めましたか。
本様 2024年下期、私たちは「お客さまの利便性向上」をテーマに取り組んできました。その中で、FAQを利用したお客さまが「お客さまが求める記事にたどり着けたか」を測る記事到達率をKPIに設定し、Helpfeel導入直後の77%から80%までへの引き上げを目指しました。
まずHelpfeelのカスタマーサクセスからの提案で、AI検索アルゴリズムの「意図予測検索」を1から2に切り替えました。これにより文章での検索にも対応し、AIがお客さまの検索意図を予測して適切な回答候補が必ず提示されるようになりました。実際に試してみて「こんな文章からでも回答が表示されるんだ」と驚きましたね。
加えて、FAQのトップ画面の改修を積み重ねました。具体的には、Helpfeelの検索データをもとにカテゴリの整理およびボタン表示の調整を行い、「修理Web受付」や「取扱説明書」への導線をヘッダーに追加し、お客さまの利便性向上を図りました。
—— Helpfeel導入後のサポートについてどう感じていますか?
本様 Helpfeelのカスタマーサクセスには、私と森田に次ぐ3人目の担当者だと感じるほど、非常に手厚く支援してもらっています。幅広い業種を支援している点も魅力的で、豊富な経験によるプロの目線から数字や記事内容について言及してくれるので、FAQページを作成するにあたって何が足りていないかなど、さまざまな気づきがありますね。
森田様 相談やお願いにもすぐに対応してくださり、やりたいことを実現できる環境を整えてくれるので、「すべてはお客さまのために」を実現するための時間を確保できるようになってきました。
Web経由の問い合わせ数を30%削減。修理受付のWeb化率も昨対比で7ポイント向上
—— Helpfeel導入後の効果を教えてください。
本様 KPIに置いた記事到達率は、目標の80%を達成することができました。これはHelpfeelのカスタマーサクセスとの定例会で分析結果からわかった導線や検索キーワードに対する課題を一つひとつクリアにしていった結果だと思います。なかでもトップページの改修の積み重ねにより、多くのお客さまが求める情報までたどり着けるようになりました。
また、2024年5月から追加導入した「問い合わせフォームAI※」は、問い合わせ間際の疑問解消に貢献しています。問い合わせフォーム経由のFAQへのアクセス数は、導入から4か月で2倍に達しており、問い合わせに至らずに自己解決できた方が増えているのがわかります。実際に、問い合わせフォームを介したWeb経由の問い合わせ数は30%削減できており、効果を実感しています。※オプション機能
森田様 修理受付のWeb化促進にも役立っています。当社の修理受付は電話、FAX、Webで対応していますが、電話やメールの場合は有人対応となるため、修理手配までに時間がかかることがあります。一方、Web受付では自動化された受付手配が可能なため、スピーディーに対応できます。そこで、より多くのお客さまにWeb受付を利用していただけるようHelpfeelを活用して積極的に働きかけを行いました。
具体的には、関連するFAQ記事すべてに「修理受付フォーム」へのリンクを設置し、FAQページのヘッダーにも導線を追加しました。その結果、これらのページからの流入が着実に増加しています。2023年から2024年にかけて、修理受付のWeb化率は7ポイント上昇しました。今後もこの数値を引き上げることを目指します。
FAQの末尾にある「修理受付フォーム」のリンクからWeb上で修理依頼ができる
本様 もうひとつ思わぬ効果がありました。当社は、世界標準のサポート体制を評価するHDI-Japan主催の公開格付け調査において、Helpfeel導入前の2023年と導入後の2024年に、2年連続で「電話応対」と「Webサポート」両部門で三つ星を獲得しています。特に2024年の「Webサポート」部門では、FAQの操作性が多くの称賛を受け、非常に高いスコアを獲得することができました。Helpfeelの有用性が客観的にも評価された、うれしい出来事でした。
森田様 数値面以外で二つの効果を感じています。ひとつは、人の力とデジタルの力をバランスよく活用できていることです。これまでは「FAQページは根本的な問題解決ができない」とどこか諦めに近い気持ちがありましたが、Helpfeelにはデジタルの得意な部分を任せつつ、人の手で調整も行うことができる適度なバランスがあります。Helpfeelは私たちが目指す「デジタルを活用して『人の価値』を最大限に活かす組織」の一翼を担っていると感じています。
もうひとつは、仮説検証やその精度の向上に集中できるようになったことです。これまでは何となくPDCAを回してきましたが、数値を分析して効果を可視化することで、より明確に改善サイクルを回せるようになりました。
KeyPoint02
Helpfeelは私たちが目指す「デジタルを活用して『人の価値』を最大限に活かす組織」の一翼を担っている

長く愛される製品であり続けるために、お客さまに価値を提供する“なくてはならない”組織へ
—— 今後、Helpfeelを活用してどんなことに取り組みたいと考えていますか?
本様 今後は顧客満足度を測るための具体的な指標を見つけることが課題だと考えています。可視化された数値と実感値の乖離を埋めるために、どのようなKPIを設定すべきか、引き続き検討していきたいと思います。
Helpfeelの良さは、お客さまに対してコンパクトかつスピーディーに情報を伝えられる点にあります。公式サイトにはFAQや修理受付、製品情報などさまざまな情報が掲載されていますが、お客さまが自分にとって有益な情報を探し出すのは大変です。しかし、Helpfeelを活用すれば、修理受付など各種手配のWeb化を促すだけでなく、当社の製品やサービスを選ぶ際のアシスト役としてお客さまに貢献できるのではないかと考えています。
森田様 お客さま室は、お客さまにいかに製品を安心してご利用いただけるかを日々考えています。一般的に給湯器の耐用年数は約10年ですが、燃焼機器のため、経年劣化により思わぬ事故につながる可能性もあります。またライフラインでもある“お湯”が使えなくなるとお客さまの生活に支障をきたします。だからこそ、お客さまに毎日の生活で安心してご使用いただけるよう、点検実施と早期取り替えを促しております。
そのため、修理の際にはすぐに全国のサービスショップと連携し、お客さまとの関係を維持することが重要です。ノーリツの製品を末永くご愛用いただくために、コンタクトセンターがお客さまのニーズに柔軟に対応できる仕組みを整え、お客さまにとって“なくてはならない”組織へと変革していきたいですね。
今後もお客さまとつながり続けるために、Helpfeelをはじめデジタルの力を活用して、総合的にお客さまのお役に立てればと思っています。「ノーリツっていいな」と思い続けていただけるように尽力していきます。
