検索ログは顧客ニーズの宝庫。
VOCを分析してクレジットカード申込者数を前年比1.9倍に

株式会社平和堂

HEIWADOと書かれた看板がある建物の外観写真

「地域密着のライフスタイル総合(創造)企業」という中長期ビジョンを掲げ、滋賀県を中心とする関西、北陸、東海エリアの2府7県で総合スーパー等を展開する株式会社平和堂。同社のHOPマネー(電子マネー)機能付きクレジットカード「HOP-VISAカード」のリニューアルを機に、検索ログから顧客ニーズを精緻につかむことを目的に、FAQページにHelpfeelを導入。

カード申込数1.9倍、CPA(顧客獲得単価)40%減、カード利用金額1.2倍

 

VOCデータの収集を目的にFAQを導入

クロステック企画部は、平和堂における既存の営業ビジネスモデルにAI などの先端技術を結び付け (クロステック) 、業務改革の企画立案から導入を行う部署として、営業組織内に新設された部門です。お客様一人ひとりにあった新たなライフスタイルをご提案するために、決済データに着目し、消費購買行動データからライフスタイルを捉える取り組みを行っています。

そのひとつが、2023年にリニューアルしたHOPマネー (電子マネー) 機能付きクレジットカード「HOP-VISAカード」です。ポイントカードである「HOPカード」は35年前に誕生し、滋賀県民の7割が会員になっており、これまでに会員420万人分の購買データが蓄積されています。このHOPカードにクレジット機能を付帯したものがHOP-VISAカードです。

宮領様は、リニューアルしたHOP-VISAカードで実現したいことについて、「クレジットカード利用を促進し、カード利用履歴からお客様の購買行動を把握したいと考えました」と語ります。そのために、HOP-VISAカードは平和堂でのお買い物に加えて、平和堂以外のお買い物でもHOPポイントと同率の「購買金額の1%付与」という高い還元率を設定したのです。

heiwado_01クロステック企画部 部長 宮領 康博様

新たなターゲット層は、これまでHOP-VISAカードのご利用者数が少なかった30〜40代の子育て世代。ネットリテラシーの高い世代であるため、店頭にカード申し込み専用のブースは置かず、オンライン申込に特化する決断をしたといいます。LP (ランディングページ)やHOPアプリ(HOPカードとHOPマネー機能などがあるモバイルアプリ) のほか、店頭にQRコードを載せたポスターやチラシを設置し、そこからアクセスして申し込んでいただく手法に限定しました。

カードデザインや申込プロセスの企画などの全面リニューアルを担当したのが、鹿田様です。

heiwado_03

リニューアルしたカードは素材として滋賀県産の間伐材を使用し、琵琶湖真珠「びわ湖パール」の貝殻を粉末化し混ぜたインクで塗装するなど、滋賀県発祥の平和堂らしい地域貢献ができるデザインにしていることが特徴とのこと。国内小売業の提携クレジットカードとしては初めて、グッドデザイン賞を受賞しました。

「このように、新しいチャレンジを重ねているのがクロステック企画部の特徴でもあります」と、鹿田様は平和堂の先進的な姿勢について述べました。

heiwado_02クロステック企画部 CX企画課 アシスタントマネージャー 鹿田 沙月様

Helpfeelを導入したきっかけは、リニューアル前のHOP-VISAカードのサイトにFAQページがなく、新たに作成する必要があったことでした。

平和堂様がFAQを導入した目的は、「お客様が求める情報の提供」と「検索ログからのVOC (Voice of Customer:お客様の声) 収集」の両立でした。その手段として、当時はFAQシステムのほかにチャットボットも検討したとのことですが、ツリー構造のシナリオを作っても、想定質問の精度が低いとお客様が意図通りに操作してくださるとは限らないと思ったそうです。

「自然言語処理やAI技術の活用に長けた製品であれば、お客様の言葉の“ニュアンス”を捉えられるのではと考えていた中で、Helpfeelに出会いました」と、宮領様は語ります。

「意図予測検索という独自の検索技術で精度の高いFAQシステムが構築できることはもちろん、お客様が検索窓に入力した生の声をデータとして蓄積・可視化する機能はまさしく求めていたものでした。検索ログからお客様がどういった点でHOP-VISAカードを支持してくださり、どのような改善を望んでいるのかを把握できるだろうと期待がもてたのです」(宮領様)

お客様に負担がかからない方法で、些細な疑問やニーズをデータとして集めたいという目的にもっとも合致しているのはHelpfeelだと判断し、導入を決定しました。

検索ログ=顧客の欲求をサイトや店頭ポスターに反映し、申し込みの動機づけに

heiwado sp image

HOP-VISAカードのLPにHelpfeelを組み込んでリリースした当初は、クレジットカード発行会社のサイトにあったFAQコンテンツや、平和堂とカード発行会社のコールセンターで使っているマニュアルから内容をピックアップし、FAQ記事を掲載していました。

ところが、nohit (ノーヒット:ユーザーが検索しても該当するコンテンツが何もヒットしない) が大半になってしまう問題が発生。カード申込を増やすためには、LPにアクセスしたお客様がいかにスムーズに申し込んでいただけるかがカギを握るにもかかわらず、「お客様がお申し込みの疑問点を解決できず、店頭で多くのお問い合わせをいただいたり、LPから離脱したりしていたことが分かり、申し訳ない気持ちになりました」と、宮領様は当時の苦悩を振り返ります。

この問題をクリアして最終的なカード申込完了率を上げるために、お客様が申込プロセスでつまづくことのないよう、nohitの削減に注力しました。Helpfeelの検索ログからお客様のニーズを把握し、カード申込時の些細な疑問や不安を解消するための記事を急ピッチで作成していったのです。

「獲得数を上げるために入会促進のキャンペーンを打つこともできますが、やればやるほどCPA(顧客獲得コスト)が上がることは否めません。そのため、単発のキャンペーンは行いつつも、LP経由の申込効率を上げることに注力すると決めました」と、宮領様は当時の全体方針を振り返ります。

実務面をリードした鹿田様は、「nohitが多い状態からのスタートだったので、Helpfeelの検索ログを毎日チェックして、記事の作成と、文言の改善をとにかく繰り返しました。そのおかげで、今ではHelpfeelの管理画面を毎朝チェックすることが習慣になっています」と述べます。

さらに、検索ログのみならず、コールセンターや店舗でお客様から質問を受けた内容もクロステック企画部に集約し、記事に反映する体制を整えました。FAQページはコールセンターの現場でも見られるようにし、オペレーターのマニュアルとして活用しています。

宮領様は「リアルとデジタルの施策が融合できていますし、FAQが絶えずアップデートされ、マニュアルとしてもどんどん『育っている』ことを実感しています」とコールセンターと連携する効用を語りました。

heiwado UI

平和堂が導入したFAQページ

Helpfeelから取得した検索ログは、LPや店頭ポスターの改善にも活用されています。鹿田様は「多く検索されている内容は、お客様が知りたい情報であるはず」と考え、LPの内容を初期リリース時から何度も変更しているとのこと。

その一例として、「ガソリンスタンドではHOP-VISAカードが使えるのか」という検索が多かったため、HOP-VISAカードで割引や特典の優待が受けられる施設情報をLPに入れ、その最も目立つところに「ガソリン・軽油割引」と記載しました。

「滋賀県は車社会なので、生活必需品の購入で優待が受けられることを魅力に感じてカードを申し込む方がいるのではないかと考えました」と、鹿田様。この他にも、検索ログからVOCを把握し、申し込みの動機づけとなる工夫を取り入れています。

こうしたLP改善の効果を見るために、ヒートマップ分析もしています。LPのリリース当初は離脱率が高かったものの、Helpfeelで得られたVOCを活かしてお客様が求めている情報を反映していくと、徐々に離脱率が改善されたといいます。

カードの名義人に関することなど社内で対応が難しいニーズについてはクレジットカード発行会社やLPの制作会社にも共有し、社内外のHOP-VISAカードの関係者全員で、お客様の体験価値を上げる努力を重ねています。

運用においては、導入当初からHelpfeelのカスタマーサクセスが伴走支援をしています。鹿田様は、「nohitをなくすことを目指していた私たちにとって、作成した記事一つひとつに対して、検索時にきちんとヒットするよう修正を加えていただいたことは大変ありがたかったです」と感想を述べます。

また、「質問の深さ」という考え方をカスタマーサクセスから学んだといいます。

「お客様がFAQ記事を見て欲しい情報がなかった場合、深掘りしたキーワードでまた検索をかけます。得られた情報に納得できなければ、何回も質問を繰り返すのだと気づきました。この行動を想定して記事を作る大切さを認識できたのは、カスタマーサクセスの支援あってのことです」 (鹿田様)

カード申込数が前年比1.9倍に増加!CPAは40%下げられ、利益面でも貢献

Helpfeelのデータを活用したさまざまな取り組みが功を奏し、HOP-VISAカード申込数やCPAなどで、大きな効果が見られています。

同社では、最終的なカード申込をコンバージョン (CV) に据え、CVRとして申込率 (申込数÷LPのアクセス数) を見ています。FAQを設置してからは申込率が40%アップし、Helpfeelの検索ログを活用してLPの改善を重ねた結果、申込率はさらに33%向上。申込率はクレジットカード業界の中でもトップクラスとなりました。

heiwado_graph1

さらに、LPから申込ページにアクセスしたお客様の4人に1人は最終的な申し込みに至っているという結果も出ています。申込数は、前年比で190%という大幅アップを実現しました。

CPAも40%下がり利益面の成果が出ているだけでなく、「スムーズに申込手続きができた点において、お客様の商品の理解度や満足度も上がっていると考えています」と、宮領様は定量・定性の両面から成果を語ります。結果としてカード利用自体が促進され、利用金額も前年比で120%を達成しています。

heiwado_graph 2その他の観点でHelpfeelが生み出す価値として、FAQで対面コミュニケーションのような環境を構築できている点が挙がりました。「Helpfeelで検索をする行動は、デジタルでありながら店舗でお客様と直接対話をする体験に近い」と鹿田様はいいます。

「店舗でのコミュニケーションは、お客様が発した言葉そのものに加えて、語感も汲み取って会話をします。Helpfeelの意図予測検索は、口語のような言葉を入力しても欲しい情報にたどり着けるため、直接対話するときの『語感を捉える』という価値も提供できていると思うのです」(鹿田様)

“検索ログ×購買データ”で進化するOne to Oneマーケティング

今後の取り組みとしては、HOPアプリからもHOP-VISAカードの申し込みを促進するために、アプリに表示する文言のABテスト (複数の文言を作成してランダムにユーザーへ表示し、どちらが効果的か検証すること) を検討中です。その文言にも、Helpfeelの検索ログから得られたVOCを反映する予定です。

さらに、「Helpfeelの検索ログと、平和堂のID-POSデータや外部でのクレジット利用データなどを掛け合わせ、One to Oneマーケティングを実現していきたい」と、宮領様は大きな構想を描きます。

heiwado_graph 3

また、現在は主に新規のお客様向けにFAQを運営していますが、今後は既存のお客様への価値提供も見込んでいます。「たとえば、420万人のHOPカード会員の情報をHelpfeelのデータと紐づけられれば、どういった購買行動をしているお客様が、どのようなキーワードでFAQ検索をしているかが把握できます。そうすれば、お客様のインサイトを理解でき、お客様対応の質もアップするでしょう」 (宮領様)

最後に、平和堂様と同様の課題を抱えている企業様へメッセージをいただきました。

「新しい商品やサービスをリリースするときこそ、Helpfeelを導入する最大のメリットがある」と、宮領様。お客様のニーズが十分に理解できていない段階で、FAQを通して些細な質問などカジュアルな本音を集められることは、貴重な情報源になると語ります。これは、個人情報を入力しなければならない問い合わせフォームや電話問い合わせでは得られない「お客様の本音」だと言えるでしょう。

宮領様はさらに、「こうした潜在的なニーズが商品やサービスの改善、マーケティングなどあらゆる場面で活用できる」と、データ活用の可能性についても言及しました。平和堂様がLP制作会社やカード会社にもFAQ検索の傾向を共有しているように、関連会社とも協業しやすくなる利点も考えられます。

「Helpfeelは、お客様が欲しい情報を提供するだけでなく、商品価値を高め、売上や利益を伸ばすことにも活用できるツールだと思います」 (宮領様)

平和堂のロゴにあるハトがあしらわれた壁面、その前に立つ宮領様と鹿田様


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