FAQ刷新で問い合わせ約50%・人件費2人分を削減。
VoCをサービス向上に活かすmederiの改善術

mederi株式会社

左にmederiのロゴ入りのクラフト紙パッケージ、右にピンク色のケースに入ったカラフルなピルシートが並んで配置されている写真

mederi株式会社は、産婦人科医が生理に悩む女性にオンライン診療でピルを処方する「メデリピル」など、女性のヘルスケア領域に特化したサービスを展開する企業です。LINE公式アカウントの友だち登録は約46万人と人気を集める一方、利用者急増に伴う問い合わせ対応やFAQ更新の遅れが課題でした。そこでユーザーに情報を迅速に届けるためHelpfeelを導入しました。

ユーザー数46万人に急増、問い合わせ約50%削減、人件費2人分削減を示す図

プラットフォーム会員数は約3年で46万人に。問い合わせ数も比例して増え続けていた

── はじめに、オペレーション統括部の業務内容を教えてください。

オペレーション統括部は、導入医療機関のオンライン診療、医薬品管理、配送・在庫管理、お問い合わせ対応のサポートまで、ユーザーとの全接点を担っています。

その中にあるカスタマーサポート課が問い合わせ対応の品質管理、FAQの運用、リリース対応などを担当しています。問い合わせ対応3名のメンバーで、フォームからいただいたご質問へメール返信している体制です。

── Helpfeel導入前、問い合わせに関してどのような課題がありましたか。

オンライン診療の普及やピルの認知拡大によって「メデリピル」のユーザー数が毎月増加する中で、問い合わせ数も増え続けてしまい、問い合わせ対応のリソースが逼迫していました。事業が成長し続けているため、部門内はエネルギーに溢れた雰囲気ですが、この忙しさがずっと続けば、人員補充やメンバーの稼働調整で乗り切るのにも限界がきますし、メンバーが疲弊してしまうという懸念もありました。
 
ピルの服用イメージ

それに、ユーザーに問い合わせの手間をかけているということは、ユーザビリティに問題がある証拠です。ユーザー体験をより良くするためにも、問い合わせ数を減らして対応効率をアップすることが急務でした。

また、キャンペーン展開に伴い、ホームページやFAQを適切なタイミングで更新する必要がありますが、以前のFAQでは、記事の追加・修正はWeb制作会社に依頼しなければならず、すぐに更新しにくい運用体制にも改善の余地がありました。

── 課題を解決するために、どのような検討をしましたか。また、その中で最終的にHelpfeelを選んだ決め手を教えてください。

問い合わせを減らすこと、およびユーザーへタイムリーに情報を届けることを目的に、FAQシステムを導入することにしました。重視した判断軸は、非エンジニアのメンバーでも記事の更新・管理がしやすいことです。そのうえで、ユーザビリティが高く使いやすいFAQを求めていました。

数社のサービスを比較する中で、Helpfeelは編集や管理のしやすさが際立っていましたし、キーワード入力中から候補の記事が表示されるというレスポンスの速さにも惹かれ、導入を決断しました。

 

「ピル」という商品特性上、センシティブな内容もできる限り記事で解決できるように、顧客満足度を重視

── Helpfeelを導入し、どういった点を意識して運用していますか。

当社の事業特性上、FAQ記事には医療用語や専門用語が多く登場します。そのため、ユーザーに伝わりやすい文章になっていることを常に意識し、誤解につながる表現がないか、カスタマーサポート課のメンバー全員で言葉選びや言い回しまで丁寧に確認しています。

特に、ユーザーが日常生活で使わない言葉は、わかりやすい表現に置き換えるようにもしています。たとえば「決済」は企業視点の言葉なので、お客様の視点に立って「お支払い」という表現にするなど、ユーザーに寄り添った表現を心がけています。
低用量ピルのパッケージと錠剤シートの写真


「メデリピル」のユーザーの中には、自分の名前を伝えて問い合わせすることに抵抗や不安を感じる方も少なくありません。そこで当社は、体調や医療に関する記事を充実させ、センシティブな内容もできる限り記事で解決できるようにしています。たとえば「ピルを服用していれば避妊は不要か」「服用中のシートで何錠目を飲み忘れた場合はどうすればよいか」といった、具体的で気になるポイントをFAQ記事にして掲載しています。

こうした医療にまつわる記事は、薬剤師と医師で構成されている医療チームが監修しており、情報の正確性や信頼性もしっかり担保しています。

体調や医療に関する記事を充実させ、できる限り記事で解決できるよう考慮 記事例:低用量ピルで生理日を動かすことはできますか? ピルを飲み忘れてしまった場合

顧客の不安をFAQで解消できるよう工夫している

こうした運用ができているのも、Helpfeelの管理画面の使いやすさがあってのことです。導入当初の期待通り、FAQ記事の編集や管理ができていますし、FAQ記事のGood/Badボタン機能によって、どの記事を優先して改善すべきかが把握しやすいと感じます。

Helpfeelは、FAQを閲覧したにも関わらず自己解決できずに問い合わせに進んだユーザーも可視化されるので、記事の不足点や改善ポイントを具体的に特定することができます。Helpfeelがあることで改善活動に大いに役立っています。

── 運用において、どのようなKPIを設定していますか。

FAQそのものに対しては、明確なKPIはあえて設けていません。当社のサービス特性をふまえると、問い合わせをゼロにすることを目指すべきではないと考えているからです。ピルの服用にあたり、不安を解消するために問い合わせるユーザーもいることを前提に、ユーザーが安心して利用できているかどうかを重視し、顧客満足度を中心にKPIを設定しています。

具体的には、問い合わせ対応の満足度をアンケートで測定しているほか、一次回答解決率や返信時間、問い合わせ率など、ユーザー体験に直結する指標をウォッチしています。
 
アフターピルのFAQ記事
 
問い合わせしづらいセンシティブな内容もFAQの記事で解決できるよう充実させた 

── Helpfeelのカスタマーサクセスへのご感想もお聞かせください。

当社にはFAQの専任担当者を置いておらず、自分たちだけでデータ分析や改善活動を継続するのは現実的に難しいため、毎月の定例会で具体的なフィードバックをもらえるのは非常に心強いです。提案内容も実践的で、すぐに改善に着手できます。

第三者のフラットな視点で意見をもらえることで、運用側ではなかなか気づけない点に多く気づかされます。先日も、「契約の確認・変更」という記事について、運用側では“契約内容の確認だけをしたいユーザーはいないだろう”と無意識に思い込んでいたようで、確認方法の記載が抜けていたのです。この点を指摘いただき、改善案も示してもらえたので、すぐに適切な対応を進めることができました。

 

問い合わせ内容は、サービス改善に活かすべき「宝」

── Helpfeelを導入してからの具体的な効果を教えてください。

導入して1年ほど経ち、問い合わせ数は47%減少しました。導入前は5〜7%だった問い合わせ率(問い合わせ数を継続会員数で割った割合)も下がっています。問い合わせの動線にもFAQを設置し、FAQで解決できれば問い合わせに進まない設計に改善したことも成果の要因だと思います。その結果、社員2人分ほどの人件費を削減することができました。
 
問い合わせ数が導入後1年で47%減少したことを示すグラフと、カスタマー対応の人件費が社員2人分削減されたことを示すイラストを並べた説明画像
 
また、問い合わせが多い内容を把握し、それを“サービス改善のヒント”として改善サイクルを回せるようになったことも大きな変化です。その一例として、お支払いエラーになり問い合わせいただくケースが多かったため、FAQ記事を新たに作成するとともに、自動配信メールにも記事のリンクを貼ってご案内するようにしたところ、自己解決率がアップしました。

── その他の効果や、社内の変化などはありますか。


問い合わせ数を減らせたことで、サービスや業務の改善に充てられるリソースの余裕が生まれました。

FAQを充実させてもなお寄せられる問い合わせは、当社にとっての大切な「宝」です。こうしたユーザーの貴重な声は他部門にも積極的に共有し、サービス改善に活かしています。たとえば、お支払いエラーについての問い合わせが複数寄せられたことを受け、ユーザーが次にとるべき行動が一目でわかるよう、マイページのUIや自動送信メールのご案内内容を変更しました。その結果、お支払いエラーに関する問い合わせ件数は大幅に減少しました。

このように、問い合わせ削減によって社内連携をより密にする余裕も生まれ、ユーザーの声を他部門とも共有しながら、サービス全体の改善に活かせるようになっています。当社では、不調を感じたタイミングですぐに診療を受けられ、毎月自宅にピルが届くという続けやすい環境を整えること、そしてユーザーの不安を取り除くことを重視しています。FAQはユーザーがピルを安心して服用するためにサポートする存在であり続けたいと思っています。

将来的には、Helpfeelと他システムを連携し、どのユーザーがどのような検索をしているかをさらに深く把握できるようになることで、よりパーソナライズしたサービス提供が可能になると考えています。
 
mederi社の一角
 
── 最後に、貴社と同様の課題を抱える企業へのメッセージをお願いいたします。

Helpfeelは、問い合わせの削減効果を確実に実感できるFAQシステムだと思います。お客様の自己解決率を上げ、問い合わせ数を減らすことで運用コストが下がり、利益面でも貢献できます。

当社がそうだったように、問い合わせ削減によって生まれたリソースをサービスや業務改善に充てられる点も大きな価値です。こうした改善の着想は、FAQのデータから多く得られるため、これらを活用することでよりよいサービス作りにつながります。Helpfeelはコスト削減だけでなく、ユーザーに届ける価値を広げていけるツールだと感じています。

 

※インタビュー内容、役職、所属は取材当時のものです。


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