出荷数の10%が問い合わせに。
売上成長に比例して増える顧客対応負荷をAIエージェントで解決
── はじめに、貴社の事業概要とお二人の役割について教えてください。
榊原様 当社は、お客様一人ひとりの悩みに合わせたパーソナライズケアサービスを提供しています。主力ブランドである「medulla」は、オンラインでの質問に答えるだけで、その人に最適なシャンプーやトリートメントをセレクトし、オリジナルのセットをお届けする定期購入サービスです。
私は共同創業者として、創業時からコールセンターを含むカスタマーサクセス(CS)チームの戦略・運営を統括してきました。
取締役 榊原様
高井様 私はCSチームに所属し、社員6名と、仙台にあるコールセンターの社員3名とともに、お客様対応のルール策定やエスカレーション対応、商品ページのチェックなどを行っています。また、Helpfeelの運用担当として、AIエージェントを通じた「問い合わせを発生させない、自己解決型UX」の構築を主導しています。
コールセンターは自社主導で運営しており、アルバイトのオペレーター10名が電話やメールで寄せられる問い合わせに対応しています。
── Helpfeel導入前に抱えていた課題についてお聞かせください。
榊原様 「MEDULLA」を軸にD2C事業(※1)が成長するなかで、売上は数年間で数十倍規模へと拡大しました。一方で、事業の拡大に伴い、お客様からの問い合わせも急増しました。一時期は出荷数に対する問い合わせ率が10%を超え、多い月には月間5,000〜10,000件の問い合わせが寄せられていました。しかし、その多くはWebサイトに掲載されている内容に関する問い合わせだったのです。
※1:自社ブランドの商品をオンラインで販売し、顧客データを活用しながら継続的な関係を築く事業
高井様 当時もFAQページ自体は用意していたのですが、単純なQ&A形式のテキストを表示するだけだったため、お客様が知りたい情報に自力でたどり着けず、結局問い合わせに繋がってしまっていました。
社内では「問い合わせ受領から2営業日以内の返信」を目標にしていましたが、週明けや大型連休、プロモーションの後などはさらにお待たせしてしまうこともありました。オペレーターだけでは処理しきれず、私たち社員も返信対応を急遽行うなど、本来注力すべきLTV(※2)向上のための施策にリソースを割けなくなっていたのです。
※2:顧客生涯価値。一人の顧客が取引期間を通じてブランドにもたらす総利益
── 多くのAIエージェントがある中で、Helpfeelを導入した決め手は何でしたか?
高井様 Helpfeelは、社内のエンジニアが教えてくれたことがきっかけで知りました。独自の意図予測検索機能により、お客様の曖昧な言葉からでも的確な回答に導ける点に魅力を感じました。今までは、お客様が検索窓に入力するキーワードを先回りして予測することが難しかったのですが、この機能があれば「探せないストレス」をゼロにできるという期待が持てました。
また、システムを提供するだけでなく、専任のカスタマーサクセスが問い合わせ内容をデータ分析し、改善案まで提案してくれる手厚い伴走体制も、導入の大きな決め手です。以前も運用改善は試みていたものの、データに基づかない場当たり的な対応をしていたので、プロの知見を借りながら運用できるのは非常に心強いと感じました。
榊原様 経営者の視点から言えば、お客様にとっても、わざわざメールや電話で問い合わせることなく、その場で自己解決できたほうが顧客体験として圧倒的に優れています。特に継続率が生命線であるサブスクリプション型D2Cにおいては、顧客の疑問やストレスを即時解決することが顧客満足度を上げ、LTVに直結します。「疑問を自己解決できる体験」を作ることがブランド価値を高めると考え、導入に踏み切りました。
自然な対話体験と先回りして案内するAIエージェントが顧客の自己解決を加速
── 現在の運用におけるKPIや、注力しているポイントを教えてください。
高井様 荷数に対する問い合わせ件数の割合を「問い合わせ率」とし、これを「6%以下」にすることをKPIとして置いています。
CX Div. / Customer Success Team 高井様
KPI達成に向けて、Webサイトやマイページ、お届け完了メールのフッターなど、お客様が疑問を持ちやすいあらゆるタッチポイントにHelpfeelへの導線を最適に配置しました。さらに、実際の検索キーワードのデータをもとに日々内容の改善を重ねています。
特に注力しているのは、キャンペーンや新施策の「先回り記事作成」です。インフルエンサーとの大型コラボレーションなどがある際は、予測される疑問点を事前に記事化しておくことでプロモーションに連動した問い合わせの急増(スパイク)を防いでいます。
── AIエージェント「Helpfeel Agent Mode」も導入されています。導入の経緯をお聞かせください。
高井様 全社的にAI活用を推進するという方針を掲げた時期に、Helpfeel導入企業の交流会「Helpfeel Community」でリリースの話を聞き、「ぜひ一緒に取り組んでみたい」と手を挙げました。
AIが質問の意図を汲み取り、関連するヘルプサイトの記事内容も含めて回答を自動生成してくれるため、お客様の自己解決体験がさらに向上すると期待し導入を決めました。現在は、プロンプトの設定や、回答から詳細画面へのスムーズな遷移設計など、Helpfeelのカスタマーサクセスと密に連携しながら、より自然な対話体験になるよう微調整を重ねています。
── Helpfeelのカスタマーサクセスへのご感想もお聞かせください。
高井様 私たちが気づけないような細かい検索キーワードの分析や、表現の追加提案を継続的に行ってくれます。社内のリソースだけでは手が回らない「検索データの分析と改善」の部分に深く入り込んで伴走してくれるので、納得感をもって運用改善が回せています。
また、導入前は構築に手間がかかるのではと不安もありましたが、セットアップから既存データの移行までを丸ごとお任せできました。スピード感を持って本番稼働させることができたのは非常にありがたかったです。
売上成長と対応人員50%抑制を両立。
スケール可能な事業基盤を構築へ
── Helpfeelを導入してからの具体的な効果を教えてください。
高井様 最も大きな成果は、かつて10%を超えていた問い合わせ率が、目標としていた6%台に、さらに調子の良い月は5%台にまでほぼ半減したことです。出荷数が急増する中でのこの改善は、現場にとっても大きなインパクトでした。

榊原様 経営面で最も大きなメリットは、売上や出荷数が伸び続けるなかでも、コールセンターの人員を増やすことなく運用できている点です。実際に、20名いた対応人員は半数の10名で対応できるようになりました。Helpfeelの利用料を含めても、CS全体のコストを削減できています。多くのD2Cブランドは、売上が伸びるほどCSコストも肥大化する「労働集約型」の罠に陥りがちです。しかし、Helpfeelを導入したことで、コスト効率を高く保ちながらスケールできる事業基盤を構築できました。
── その他の点で感じている効果はありますか?
高井様 通常のHelpfeelでも効果を感じていましたが、AIエージェント機能「Helpfeel Agent Mode」を掛け合わせたことで、顧客体験がさらに一段変化したと感じています。
従来の検索では、記事を読んで関連する疑問が新たに生まれた場合、お客様ご自身が再度検索し直す必要がありました。「Helpfeel Agent Mode」を導入してからは、AIが質問の文脈を先読みし、関連情報まで対話画面上に一覧で整理して提示してくれるようになりました。この「探すストレスを徹底的に排除した導線」が加わったことで、途中離脱からの問い合わせ流入を最小限に防げるようになったのは、通常版だけでは得られなかった大きな変化です。
また副次的な効果として、コールセンターの現場からは「ヘルプサイトを読み、前提を理解した状態でお問い合わせをくださるお客様が増えた」という声が上がっています。「ヘルプサイトのこの記事を読んだのですが、私の場合はこう解釈してよいですか?」と具体的な会話からスタートするため、1件あたりの対応時間(AHT)が劇的に短縮され、応対品質の向上にも貢献しています。
榊原様 「Helpfeel Agent Mode」も当初は問い合わせを減らすための施策として捉えていたのですが、実際にはお客様の困りごとをその場で解決することで、ブランドへの印象そのものが良くなっている実感があります。特にサブスクリプションはリピートが前提のビジネスであるため、こうした体験の積み重ねがブランドを守ることに繋がっているのだと思います。
お客様を電話の保留やメールの返信待ちで「待たせる」ことは、ブランド体験にマイナスになりかねません。疑問をその場ですぐに自己解決できる体験は、ユーザーにとってもストレスフリーで、圧倒的に価値が高いはずです。ですから自己解決率を向上させることは、単なるコスト削減のための「守りの施策」ではなく、ブランドの体験価値を高め、LTVを最大化するための重要な「攻めの投資」なのだと改めて実感しています。
AIエージェントで描く「超・個別化」の未来
── 今後の展望をお聞かせください。
高井様 Helpfeelの運用では、お客様からいただくポジティブなフィードバックだけでなく、「解決できなかった」という声もデータとして丁寧に拾い上げ、AIエージェントが参照するナレッジをさらに磨いていきたいと考えています。
将来的には、電話やメール、チャットなどすべての問い合わせ履歴とも連携させ、CS全体のデータを一元管理・分析してサービス改善にフィードバックできる体制を整えたいですね。それが当社の掲げるミッションの実現に大きく近づくと確信しています。
榊原様 事業成長の観点では、パーソナライズケアを提供するブランドとして、AIの活用領域をさらに広げていきたいと考えています。現在も「夏にはこの成分がおすすめです」といった季節ごとの提案を行っていますが、今後はAIがお客様一人ひとりの髪の悩みや過去の対話履歴を踏まえ、「1対1のパーソナルな接客体験(超・個別化)」をデジタル上で再現していきたいです。AIエージェントは、その顧客体験を支える重要な基盤になると期待しています。
── 最後に、貴社と同様の課題を抱えるD2C・EC企業の経営者へのメッセージをお願いいたします。
榊原様 外部ツールやベンダーを選ぶ際に重要なのは、そのシステムや企業が自社の中長期的な成長を支え、ともに進化していけるパートナーになり得るかという視点です。Helpfeelは単にツールを納品して終わりではなく、AIなどの最新テクノロジーへ投資し続け、常にプロダクトを進化させています。私たちの事業スケールにどこまでも並走してくれる、非常に心強いパートナーだと感じています。
高井様 Helpfeelは、問い合わせ削減やCSコストの最適化だけを目的とする企業ではなく、「お客様により良いブランド体験を提供したい」「リテンションを高め、LTVを最大化したい」と本気で考えている企業にこそ、おすすめしたいサービスです。
D2Cの現場では、日々の業務に追われ、顧客体験の改善が後回しになりがちです。Helpfeelは、専任担当者による手厚い伴走支援があるので、忙しい状況でも改善サイクルを止めることなく、着実に顧客体験の向上につなげられると感じています。
※本記事の内容、数値、所属・役職は、取材当時の情報です。
