近年、コスト削減や業務効率化を目的に、チャットボットを導入する企業が増えています。本コラムでは、チャットボットの自社開発を検討している方に向けて、チャットボットの開発方法や、自社開発によるメリット・デメリットを解説していきます。
- チャットボット開発をするなら覚えておきたい基礎知識
- チャットボットを自社開発するメリット・デメリット
- チャットボットを自社で開発する方法
- 自社開発以外でチャットボットを導入する方法
- チャットボット以外で問い合わせ削減するならFAQシステムがおすすめ
- 導入まるごとサポート!デザインもカスタマイズできるFAQシステムHelpfeel
チャットボット開発をするなら覚えておきたい基礎知識
チャットボットとは?
チャットボットとは、ユーザーがチャット(chat)上で送信したメッセージに対して、ロ一ボット(bot)が自動で回答・対話してくれるツールのことです。WebサイトのTOPページで「お困りごとはありませんか?」と表示される入力エリアもそのひとつです。
- 「定型の回答で解決できる、軽微な問い合わせに追われ、本来の業務に集中できない」
- 「カスタマーサポート部門の負荷が大きく、今後の事業成長に耐えられるか不安」
チャット上で質問に自動回答するチャットボットの導入は、このような課題に対する有効な解決策になり得ます。24時間リアルタイムで、問い合わせに対応できるため、有人での対応件数を減らし、カスタマーサポート業務を効率化できるからです。加えて、顧客満足度の向上、それに伴うLTV(顧客生涯価値)の向上といった効果も期待できます。
チャットボットは、特定のキーワードに対して定型化した回答を表示する「ルールベース・シナリオ型」と、データベースに蓄積した会話のログを解析して、自動的に適切な回答を選択・表示する「AI型」の2種類に大別できます。
チャットボット開発前のチェックポイント
■開発目的・設置場所
チャットボットを開発する目的を明確にしましょう。チャットボットの導入によって、どのような目的を達成したいのかを明確にすることで、チャットボットの種類や必要な機能、質問内容を具体的に決定できるからです。
チャットボットを開発する目的としては、たとえば、次のようなものが考えられます。
- 問い合わせの件数を減らして、業務の効率化を図りたい
- ユーザーのニーズに合わせてサービスや商品の提案をしたい
- 気軽に質問できるようにして、顧客との接点を増やしたい
- ユーザーが探している情報に、誘導してサイトからの離脱率を減らしたい
- ユーザーが抱える疑問の内容や頻度を可視化し、サービス品質を向上させたい
目的を設定したら、次は、チャットボットの設置場所を検討します。より多くのユーザーにチャットボットを利用してもらうには、できるだけ目立つ場所に設置する必要があります。たとえば、商品サイトやコーポレートサイトのトップページ、または、LINEの企業アカウントなどが考えられます。
■ユーザー層やニーズ
チャットボットが本来の機能を発揮するには、ユーザーが求めている問い合わせに対応できるものでなければなりません。そのため、過去の問い合わせ内容や、ユーザーへのアンケート結果を収集し、自社のユーザー層とニーズをしっかりと分析することが不可欠です。
チャットボットの開発では、ユーザーニーズに応じた「会話のシナリオ」を作成し、プログラミングしていきます。ユーザーニーズをどの程度カバーできているかは、チャットボットの利便性を大きく左右します。
より利便性の高いチャットボットにするには、過去に問い合わせが多かった質問をシナリオに盛り込むのはもちろん、ユーザーから寄せられた「分かりにくかった点、不満に思った点」からニーズを拾い出し、シナリオに含めるとよいでしょう。
ここで注意しておきたいのは、すべてのニーズにチャットボットで対応しようとしないことです。回答の性質により長文になってしまう場合や、ユーザーへの共感や推察が求められる場合など、チャットボット内での解決が難しいと思われるニーズにまで対応しようとすると、逆に混乱を招く可能性があります。
別の問い合わせ窓口のほうがユーザーの混乱を招きにくいケースは、該当する窓口に誘導するといった工夫も必要です。
■チャットボットを開発・運用できる人材の確保
チャットボットの開発・運用には、専門の知識と技術を持った人材を確保する必要があります。社内に適任者がおらず、開発を外部に委託した場合も、運用段階では、ある程度の知識や技術が求められるからです。
チャットボットは、導入さえすれば効果が出るというものではありません。チャットボットが回答できなかった質問を分析し、「なぜ回答できなかったのか」「どのような回答であればユーザーニーズを満たせるのか」を考え、継続的にアップデートしていく必要があります。
チャットボットを導入したものの回答の精度が低いままでは、「問い合わせ対応の業務効率化」「顧客満足度の向上」「ユーザーの利便性向上」といった、本来の目的を達成できない可能性が高いです。そのような事態を引き起こさないためにも、チャットボットに関する知識や技術を持つ人材を専任者に据えて、運用体制を事前に整えておくことが非常に重要です。
チャットボットを自社開発するメリット・デメリット
自社開発するメリット
自社でチャットボット開発を行う一番のメリットは、自社のブランドやサービス、ユーザーニーズにマッチしたチャットボットにできるという点です。
デザインや機能、チャットボットの動作などを柔軟にカスタマイズできます。また、人材や開発期間が十分に確保できる場合は、取り入れたいシーンに応じて、複数のチャットボットを作ることも可能です。
また、社内で適切な人材が確保できる場合は、開発コストを抑えることもチャットボットを自社開発することのメリットです。導入後も、運用コストが不要、あるいは低額に抑えられるため、「限られた予算の中で最大限効果を出したい」というケースでは、自社開発によるメリットが大きくなるでしょう。
自社開発するデメリット
チャットボットの自社開発には、高い知識と技術が求められます。特にAIを用いて開発する場合には自然言語処理(NLP)をはじめとする専門知識が必要になります。また、開発ツールに精通している必要もあり、開発のための人材確保や人材育成が容易ではありません。
そして、チャットボットの開発から導入までには、ユーザーニーズや過去データの収集と分析、そこから導き出した会話シナリオの構築、それらのプログラミングといった過程で、相当な手間と時間がかかります。
AI型のチャットボットの場合でも、教師データとなる質問と回答の整理や、自然な会話を導き出せるまでの学習期間が必要であり、開発から導入までに半年以上を費やすケースもあります。
さらに、チャットボットは導入後のブラッシュアップが欠かせません。チャットボットの精度向上のために、専門知識を備えた人材を専任者として配置し、運用中のデータの収集と解析を行い、会話シナリオを適切に改善・追加していく必要があります。
チャットボットを自社で開発する方法
チャットボットをすべて一から自社で開発するのは、非常に高度なスキルと膨大な開発期間を要するため、あまり現実的ではありません。実際には、APIを活用したり、開発フレームワークを活用したりして、開発が進められます。
APIを活用する
APIとは、ソフトウェアやアプリケーションの一部を外に向けて公開することにより、アプリケーション同士で連携できるようになる仕組みのことです。
APIを提供している主なアプリケーションには、次のようなものがあります。
- LINE
- Slack
すでにLINEやFacebookの企業アカウントを保有しており、各プラットフォームでチャットボットを提供したい、と考えている場合には、APIの利用がおすすめです。
APIを利用すると、各プラットフォーム上から、簡単にチャットボットの機能を呼び出して、設定を行うことができます。
たとえば、LINEの場合、チャットボット作成用に「LINE Bot Designer」というAPIが用意されています。LINE Botのプロトタイプを簡単に作成でき、すべてのLINEメッセージテンプレートにも対応しています。LINE公式アカウントの応答を自動化して、問い合わせ対応やサービス訴求を行う、といった動作が可能になります。
こうしたAPIを利用する場合、会話の作成自体にはプログラミングの知識は必須ではありません。しかし、導入やメンテナンスでは、ある程度の専門知識が必要になります。APIは「開発者ツール」として提供されており、導入方法の説明やメンテナンス情報においても、システム開発等の専門用語が多用されているからです。
開発フレームワークを活用する
フレームワークとは、アプリケーションやシステムを開発するために必要な機能が、予め用意されているもののことです。プログラミングを簡略化できるため、初心者でも開発しやすいというメリットがあります。チャットボット開発用のフレームワークには、次のようなものがあります。
- Amazon Lex(開発元:Amazon)
- botkit(開発元:XOXCO)
- Microsoft Bot Framework SDK(開発元:Microsoft)
- Microsoft Azure Bot Service(開発元:Microsoft)
- DialogFlow(開発元:Google)
こうしたフレームワークを活用することによって、チャットボット開発にかかる時間とコストを削減できます。また、FacebookメッセンジャーやLINEなど、複数のメッセージアプリに対応するチャットボットを作ることも可能です。
一方で、フレームワークを利用してもプログラミングの知識が必要であることに変わりはありません。フレームワークはそれぞれ特有のルールがあるので、それを理解した上で使いこなす必要があります。また、利用するフレームワークによっては、公式サイトが日本語に対応していない場合があります。
このように、フレームワークを活用したチャットボット開発には、一定の開発スキルが必要です。
自社開発以外でチャットボットを導入する方法
開発ツールを使用する
自社開発に必要な人材が確保できない場合や、AI型のチャットボットを開発したい場合は、開発ツールを使用することで、チャットボットの導入を実現できます。
■クラウド人工知能ツール
クラウド人工知能ツールとは、インターネット上のシステムに学習データを読み込ませることで、人工知能(AI)が自動的に学習するツールのことです。チャットボットとして利用した場合は、ユーザーと会話を繰り返すことによって学習し、最適な回答ができるように自動的に改善されます。使えば使うほど学習を繰り返すので、複雑な質問への回答も可能になります。
クラウド人工知能ツールは、プログラミングの知識をあまり必要とせず、便利に使えるツールですが、導入コストは高額になる場合があります。また、使うことによって学習するので、目標とする回答精度に達するまでに時間がかかることも、デメリットの一つです。
■チャットボットツール
チャットボットツールは、月額利用料を払うことによって、プログラミングやAIの知識がなくともチャットボットが作成できるようにサポートしてくれるサービスです。ドラッグ&ドロップのように、直感的に操作しやすいインターフェースになっているものも多くあります。
サービスにより利用料は異なりますが、開発コストと開発期間を抑えつつ、チャットボットを導入することができます。
ただし、シナリオにない質問や、長くて複雑な質問には答えられない場合があります。さらに、たくさんの質問に回答させるためには膨大なシナリオを設定する必要があり、AI搭載タイプに比べると柔軟性が低いのがデメリットです。
チャットボット以外で問い合わせ削減するならFAQシステムがおすすめ
これまで解説してきたように、チャットボットの開発には、人材コストや時間的コスト、ツール使用料など、さまざまなコストが必要になります。さらに、開発だけでなく運用段階においても、スキルを持った人材を確保しなければなりません。チャットボット開発を検討する際には、これらのコストを踏まえて、そもそもチャットボットの導入が最適な策であるのか、しっかりと見極める必要があります。
特に、自社で抱える課題が「有人による問い合わせ対応数の削減」である場合は、チャットボットではなく、FAQシステムの導入によってより大きな成果が得られる可能性があります。
FAQとは、「Frequently Asked Questions」の略語で、よくある質問のことです。FAQシステムは、FAQ検索機能やFAQ管理機能によって、FAQサイトを顧客にとって使いやすくするとともに、社内での情報共有・管理をスムーズにして業務効率化を図ることができます。
チャットボットと比較すると、FAQシステムには、次のようなメリットがあります。
- 回答が複雑で長い内容であっても、1つのページにまとめて表示できる
- 関連度の高いFAQを一覧表示できるため、ユーザーの自己解決を促しやすい
- 閲覧ページや検索キーワードの解析により、ユーザーニーズを把握できる
- システムの導入や運用において、プログラミング等のスキルが不要である
- FAQが数百件以上あるような、膨大な量であっても容易に対応できる
- 社外向けFAQ、社内向けFAQの両方に対応できる
ユーザーとの気軽な会話型コミュニケーションよりも、「多岐にわたるFAQにしっかり対応したい」「ユーザーの自己解決を促し、満足度向上や業務効率化を図りたい」という目的を重視するなら、FAQシステムの利用を検討してみてください。
導入まるごとサポート!デザインもカスタマイズできるFAQシステムHelpfeel
Nota株式会社では、最先端の検索テクノロジーを搭載した革新的なFAQシステム「Helpfeel」を開発・提供しています。Helpfeelは、「顧客の質問に対して回答を探す」のではなく、「顧客が入力したキーワードにマッチする質問を提示する」画期的な仕組みで、FAQ検索ヒット率は98%に上ります。また即応性の観点においても、0.001秒での応答という優れた性能を実現しています。
さらに、導入・運用にあたっては、テクニカルスタッフを含めた専任チームによる手厚い伴走体制を整えており、専門知識に不安がある場合でも、導入をまるごとサポートしています。自社ブランドやサービスのイメージに沿ったデザインにカスタマイズしたい、といったご要望にも柔軟にお答えできます。
ユーザーからの問い合わせを削減し、コスト削減や業務効率化を目指す企業の方は、Helpfeelについてぜひお気軽にご相談ください。