電話問い合わせ数が多く、放棄率(問い合わせに応答できなかった割合)を解消したかった
FAQやチャットボットに掲載している内容でも問い合わせが発生
ホームページのリニューアルを機に、これらの課題解決に加え、Web接客ができるようなFAQを設置したいと考えた
単語を変えて同様の記事を複数作る必要がなくなり、FAQの記事数を4分の1に圧縮
電話問い合わせの放棄率を15%から2.5%まで大幅に低減
データを精緻に分析することで、お客様のニーズを可視化
- 以前は半年に一度だったFAQの見直しを月次で行える体制ができ、他部署との連携もスムーズに
ホームページを「非対面店舗」として位置付け、Web接客をするようなFAQへ
ニュースリリースやキャンペーン情報もFAQを通してお客様に届けたい
株式会社北陸銀行は、富山県富山市に本店を置き、北陸3県を中心とする地域の発展を幅広いサービスで支える金融機関です。
同行では、コールセンターに寄せられる電話の問い合わせ数が多く、放棄率が高くなっているという課題を抱えていました。ホームページのリニューアルを機に課題を解決し、Web接客ができるようなFAQを設置することを目指し、2024年4月にHelpfeelを導入。FAQ公開後、問い合わせ数(着信数)や放棄率が下がり、データ分析によってお客様のニーズを具体的に把握できるようになっています。
FAQの運用を担当する経営企画部 広報CSRグループ 主任の藏林様に、Helpfeelを導入した背景や活用方法、効果などについて話を伺いました。
「Web接客」をしてくれるようなFAQツールを探していた
── はじめに、広報CSRグループにおける藏林様の業務内容を教えてください。
当行ホームページ、広告の企画・運用を担当しています。関連部署やデザイナー、外部の協力会社と連携しながらコンテンツを制作するディレクション役を担っています。
経営企画部 広報CSRグループ 主任 藏林 様
── Helpfeel導入前、お客様からの問い合わせやFAQの運用に関して、どのような課題がありましたか。
コールセンターへの問い合わせ数が多く、放棄率(問い合わせに応答できなかった割合)が15%にまで上がることもありました。お客様からの問い合わせチャネルは電話がメインで、ご質問内容によって当行行員複数人で分担して対応しています。
問い合わせの中には、ホームページ上のFAQやチャットボットに掲載している内容に関するご質問も多くありました。当時のFAQは検索機能がなく、チャットボットもFAQの内容をシナリオ化して設置していたことを考えると、お客様が求める情報にきちんとたどり着けていないのだろうと感じていました。
また、データに基づいた運用ができておらず、FAQの改善や更新は半年に一度程度の実施に留まっていました。当時、FAQの記事数は約800と膨大で、記事の見直しを関連部署に依頼するだけでも負荷が大きく、リアルタイム性に欠ける状態となっていました。
── FAQを見直すことになったきっかけと、Helpfeelを選んだ理由をお聞かせください。
当行のホームページのリニューアル検討を機に、FAQのPDCAを改善できるようにしたいとツール選定することになりました。
目指したのは、問い合わせ数を減らすだけでなく、ホームページ全体が「非対面店舗」として機能することです。ネットで多くのサービスを利用できる今の時代、非対面でのきめ細やかな接客に力を入れなければ、ネットでのお取引を放棄していることに他なりません。そこでお客様が疑問に思ったらすぐ解決できる、言わば「Web接客」をしてくれるようなFAQツールを探しました。
Helpfeelの存在を知ったのは、すでに導入検討していた他部署からの情報提供でした。デモ環境を操作してみると、シンプルで迷わないUI(ユーザーインターフェース)であり、意図予測検索によって、キーワード入力中から記事の候補が即時表示されることに感動したんです。
それまでは「FAQとチャットボットを併用すべきだ」と思い込んでいたのですが、Helpfeelに出会ってから「FAQだけで、お客様が欲しい情報を十分に届けられるのではないか」と考えるようになりました。「文字を入れるたびに検索結果が変わり、自分の欲しい情報に近づいていく」体験は、チャットボットで実現したいものと変わらず、むしろチャットボットよりレスポンスが早い、上位互換だと感じました。金融機関の導入事例が豊富なことも好印象でしたね。
最終的にHelpfeelに決めたのは、カスタマーサクセスによる伴走支援があることや、提案資料がわかりやすく、見積りをスピーディーに出していただいた点です。ツール導入後は長いお付き合いになることを見据えると、迅速かつ丁寧にコミュニケーションしてくださる姿勢に安心感を覚えました。
FAQ記事数を75%圧縮し、運用工数を最適化。PDCAを回せる運用体制が整った
── Helpfeelを導入し、どのようなことから運用を始めましたか。
Helpfeelの協力を得ながら800近くあった既存のFAQ記事を精査し、200記事ほどをHelpfeelへ移行しました。以前のFAQはキーワードが完全一致しないと記事がヒットせず、同じ内容のコンテンツが複数あることが多かったのです。たとえば投資信託について知りたいと思って「投信」と入力すると「投資信託」と書かれている記事にはヒットしないので、同じ内容のFAQでも「投資信託」と「投信」という2つの記事を用意していました。
Helpfeelの意図予測検索のおかげで、お客様が検索するであろうキーワードの数だけFAQ記事を用意する必要がなく、記事数を従来の4分の1にまで圧縮できたことで、運用の負荷を大幅に減らせました。
── FAQ記事の移行を終えてからは、どのようなことに注力して運用しましたか。
no hit(ノーヒット:検索しても記事がヒットしないこと)をなくすために、データに基づいて記事を追加したり修正したりすることに注力しました。
最終的に目指したいのは、コールセンターの放棄率をゼロにすることです。FAQ記事を充実させることで、お客様自身が不明点を自己解決できるようになり、コールセンターは個別の問い合わせ対応に注力できるようになるのが理想像です。
── カスタマーサクセスへの感想もお聞かせください。
毎月、データに基づいて改善提案をしてもらえるのがありがたいです。月次の定例会でカスタマーサクセスと分析結果について話し合えると、この先1か月でやるべきことが明確になり、すぐにアクションを起こせます。
Helpfeel導入前は、業務の中でどうしてもFAQの分析と改善施策が後回しになりがちで記事更新にも時間と労力を要していましたが、そんな状況が大きく改善されました。
以前は、FAQのPV数やチャットボットで閲覧数が多いシナリオを把握する程度だったので、FAQ運用が大きく進化したように思います。カスタマーサクセスのおかげでPDCAのサイクルが月次で回せており、自分自身のモチベーションがアップしています。毎月の分析レポートを見るのも楽しみになりました。
放棄率は15%→2.5%に大幅減少。ニーズを可視化するFAQにWeb接客への可能性を見出す
── Helpfeelを導入してから、問い合わせ数や内容に変化はありましたか。
電話問い合わせの放棄率が15%から2.5%にまで大きく減少しました。コールセンターの人員を増やしたことも影響していると思いますが、そもそもの問い合わせ数(着信件数)自体も減っているので、お客様がFAQで自己解決できている様子がうかがえます。
── その他の点で感じている効果はありますか。
データ分析の効果として、お客様のFAQに対する期待やニーズを把握できるようになりました。最近の傾向をひとつ挙げると、金融用語の検索が目立っています。国がNISA(少額投資非課税制度)を推進している影響もあり、「成長投資枠」「成長枠」といったキーワードでの検索が増えています。お客様の資産運用に対する意識が変わってきていると感じますし、NISAの概要だけでなく一歩先の情報までFAQで知りたいと思っていることがわかりました。FAQではお客様が入力された検索キーワードを分析ができるため、真のニーズが見えるのがとても良いですね。
このニーズに応えるためには、FAQにNISAの概要ページのリンクを載せるだけでは不十分で、つみたて投資枠と成長投資枠の説明や、北陸銀行でNISAを始める方法、アプリでのNISA口座開設手順などの情報もカバーする必要があると気づきました。
── 藏林様の仕事や、時間の使い方などに変化はありましたか。
他部署との連携が円滑になりました。FAQ記事の追加や修正を他部署に依頼する際、質問文と回答例を用意するようにしたんです。他部署の負担が減りますし、レスポンスも早くもらえます。以前は半年に一度すべての記事をまとめて見直していたため、そこまで手が回りませんでしたが、今は月次で改善しているからこそ丁寧な連携ができています。
コールセンターとも対話をするようになりました。以前はお互い忙しすぎてコミュニケーションが希薄になっていたのですが、定期的に近況をやり取りし合っています。コールセンターもHelpfeelの存在を認識しているので、お問い合わせの傾向からFAQのアイデアをもらうこともあります。FAQ担当以外の行員も、お客様のためにFAQをきちんと用意すべきだという認識になっていると感じます。
こうした変化を感じるうちに、私自身の意識も変わりました。これまで、FAQを能動的に分析して改善する余裕がなかったのですが、Helpfeel導入後、FAQはWeb接客ツールになりえるという期待がふくらみ、もっと積極的に使いたいと思うようになりました。カスタマーサクセスと話し合いながら運用を続けるうちに「こんなこともできるかもしれない」とアイデアが思い浮かぶようになっています。
集客力のあるホームページは重要な「非対面店舗」。Web上で顧客に“提案できる”場が必要
── 今後の展望をお聞かせください。
HelpfeelをFAQという機能だけにとどめず、幅広い目的で使っていきたいです。導入当初に構想した「非対面店舗」としての役割を発揮できるように、行員が店舗で行っているような接客シナリオを意識しながらFAQを進化させたいと考えています。
そのために、まず取り組みたいのが検索深度(検索して表示されたページ以外に見たページ数)の改善です。今はFAQで知りたいことが解決したら離脱するお客様が多いのですが、情報収集の場として広く活用いただきたいと思っています。お客様にお伝えしたい重要なお知らせやキャンペーンなどの情報をFAQに掲載するのも一案です。ホームページの来訪数は多いですからFAQもうまく活用して、効率的に情報を届けていきたいですね。こうした改善を積み重ねた先に、FAQによるWeb接客の実現があるのだと思います。
── 最後に、貴社と同様の課題を抱える企業へのメッセージをお願いいたします。
FAQは導入して終わりではなく、運用でより良いものにしていくことが大切です。Helpfeelはカスタマーサクセスによるサポートが基本サービスに含まれていて、伴走支援を受けながら改善を積み重ねられます。
当行のように限られた人数でFAQを運用していたり、PDCAサイクルが回せていなかったりする場合は、Helpfeelのような支援を受けられることも、ツール選定の大切な判断軸になるのではないでしょうか。
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