月5.5万件の問い合わせ、引き落とし日や連休明けに電話が集中
── はじめに、インフォメーションセンター課の業務内容を教えてください。
福永様 当課は、ライフカードをご利用中のお客様や契約をご検討中のお客様からの問い合わせ対応を担い、電話やFAQや、チャットツールを通じて必要な情報を的確にお届けすることをミッションとしています。
ライフカードは学生専用クレジットカードも展開しており、Z世代を中心とした若年層にファーストカードとして選ばれることが多いのが特徴です。初めてクレジットカードを利用するお客様も多く、支払い方法など基本的な内容でも疑問が生じやすい傾向があります。
問い合わせチャネルは、電話が60%、有人チャットが25%、メールが15%です。これらの問い合わせを社内のオペレーター40名弱で対応しており、電話対応が約30名、チャットとメール対応は8名ほどの体制です。
板垣様 私はFAQの運用を担当しています。インフォメーションセンター課や関連部門から意見を募りながら、基本的に1名で運用しています。
田中様 私は有人チャットや問い合わせフォームなど、Web経由の問い合わせの対応を担当しています。
── Helpfeel導入前、問い合わせに関してどのような課題がありましたか。
福永様 問い合わせが月55,000件に上り、特に毎月27日の引き落とし日や連休明けは、電話が集中しつながりにくい状況が続いていました。ご質問の多くは、Web上のFAQに掲載している支払い確認や利用内容、解約といった基本的な内容が大半です。
カスタマーセンター インフォメーションセンター課 福永様
板垣様 いくら情報を網羅していても、お客様が必要な情報を見つけられなければFAQの意味がありません。効率化を図ろうと、Webサイトや自作の音声ガイダンスで「メールやチャットでの問い合わせ」を促しましたが、抜本的な改善には至りませんでした。
必要な情報が活用されていない現状を踏まえ、FAQそのものを刷新する必要があると考えるようになりました。当時のFAQは分析機能が乏しく、把握できるのは閲覧数とGood/Bad評価程度だったため、より詳細なデータが取得できるシステムを探し始めました。
── そうしたなかで、Helpfeelをどのような経緯で知りましたか。導入の決め手もお聞かせください。
板垣様 Helpfeelを知ったきっかけは、グループ会社のアイフルが導入していたことです。
導入の決め手は「検索性」「データ分析機能」「サポート体制」と求めていた要素がすべて揃っていた点でした。実際にアイフルのFAQを操作した際、検索窓に入力している途中から記事が表示されるスムーズな動作に驚きました。これならお客様が即時解決でき、タイパ(タイムパフォーマンス)を重視する方にも満足いただけるサポートが実現できると手応えを感じました。
カスタマーセンター インフォメーションセンター課 板垣様
また、FAQ運用担当としては、データ分析機能が備わっていることと、カスタマーサクセスの支援が受けられることは大きなポイントでした。以前は、他社のFAQを参考にしつつ経験則に頼る運用に、「本当にこれで正しいのか」と悩むことが多かったのですが、専門的な知見がある担当者に伴走してもらえることで、自分では思いつかないサポートや提案が得られる点に期待し、導入を決めました。
スマホファーストな顧客サポートを構築し、データ分析で顧客理解を深化
── Helpfeel導入後は、どのようなKPIを設定して運用していますか。
福永様 FAQの閲覧数と閲覧率(問い合わせ数に対し、FAQがその何倍見られているか)をKPIに設定しました。閲覧率はこれまでの10倍にすることを目標に運用をスタートしました。
本当に顧客のニーズに合った情報をFAQで提供できているかどうかは、記事到達率(検索行動を行ったセッションのうち、実際に記事を閲覧できた割合)や、検索しても該当するコンテンツが何もヒットしないno hit(ノーヒット)キーワードで常に検証しています。
── FAQの運用において、どのようなことを意識していますか。また、どういった機能が役立っていますでしょうか。
板垣様 当社のお客様は若年層の方が多く、9割がスマートフォンからFAQを閲覧しています。そのため、スマホ画面で読みやすい記事作りを意識し、スマホに最適な画像を掲載しています。
画像追加については、Helpfeelの編集画面(Cosense)でドラッグ&ドロップするだけで簡単に配置できるようになり、格段に作業効率が上がりました。以前は画像を別でアップロードする必要があり、2名体制で記事作成をしていましたが、今は私1人で対応できるようになりました。
福永様 統括する立場としては、お客様の検索行動全体を把握することを重視しています。Helpfeelのデータ分析画面では、お客様がどのようなお悩みでFAQにアクセスし、どのような検索を経て、自己解決できたかがステップで可視化されており、どこがボトルネックになっているのか一目でわかります。
The Knowledge Journeyのメソッドに沿って顧客行動を分析(Helpfeelのデータ分析画面)
田中様 問い合わせフォームの入力内容に応じてFAQがサジェストされる問い合わせフォーム機能(※)も活用していますが、問い合わせフォームからFAQに遷移し、自己解決に至ったお客様の割合や行動も確認できます。顧客体験を俯瞰して見られるようになり、お客様への理解が深まったと感じています。
── Helpfeelのカスタマーサクセスへのご感想もお聞かせください。
板垣様 当初の期待通り、私たちだけでは気づけない点を第三者の視点から提案いただき満足しています。FAQの記事は十分に作成したつもりでしたが、「カード再発行」のような基本的な記事が抜けていたことに初めて気づきました。カード再発行は問い合わせが必須となる項目ですが、社内にいると当たり前すぎて、FAQは不要だと思い込んでいたのかもしれません。
福永様 公開済みのFAQ記事についても、的確にヒットさせるためのチューニング方法だけでなく、お客様が読みやすくなる工夫にも助言があり、着実に閲覧数や自己解決率の向上につながっています。
板垣様 以前のFAQにはデータ分析機能やカスタマーサクセスの支援がなく、システムからデータをダウンロードして手作業で分析していました。この負荷は大きかったのですが、現在はHelpfeelの分析画面にデータが集約されており、改善活動に集中できています。
年間8,500時間の顧客対応を効率化!キャンペーンやアップデート時に急増していた問い合わせも抑制
── Helpfeelを導入してからの具体的な効果を教えてください。
福永様 FAQ閲覧率は当初10倍を目標にしていましたが、現在は16〜17倍に達しています。お客様が問い合わせ前にFAQを確認する習慣が定着しつつあると感じています。
実際にカード会員数が増え続ける中でも、問い合わせ件数は月5,000件ほど減少しました。1時間あたり7件対応すると仮定すると、月714時間、年間で約8,500時間もの対応負荷を軽減できています。
また、HelpfeelはFAQ記事の更新が簡単なので、キャンペーンや機能アップデートに合わせた記事の追加や更新も迅速に行えます。以前はこうしたイベント時に問い合わせが増える傾向にありましたが、事前にFAQを準備しておくことで多くのお客様に閲覧いただき、問い合わせの急増を抑えられています。
── 問い合わせ内容に変化はありましたか。
田中様 有人チャットやメール対応をしている中で、FAQを読んでいただいてから問い合わせるお客様が増えたと感じています。ご覧になったFAQ記事のURLを問い合わせフォームに記載してくださるケースもあります。
対応者としては、「お客様がどの内容まで理解しているのか」を把握でき、無駄なやり取りが減りました。結果として問い合わせ1件あたりの対応スピードも短縮できていますし、お客様も必要な回答をスムーズに得られるため、満足度向上にもつながっていると思います。
カスタマーセンター インフォメーションセンター課 田中様
問い合わせのログを活かし、限度額増額や分割など、最適なサービスを適切なタイミングで提案したい
── 今後の展望をお聞かせください。
福永様 私たちの究極の目標は「問い合わせゼロ」を実現することです。そのために、より感覚的に検索でき、最適な回答がすぐ得られる顧客体験を提供したいと考えています。
FAQは単なる問い合わせ削減の手段ではなく、顧客ニーズを把握する貴重なデータ資源だと考えています。検索ログや問い合わせ内容を活用し、例えば限度額増額や分割など、最適なサービスを適切なタイミングで提案するなど、営業面でも活用していきたいです。
将来的には、顧客情報とFAQデータを連携させ、よりパーソナライズされた情報提供を目指したいですね。知りたいときに知りたい情報が自然と届く、そんな新しい顧客体験を実現することで、顧客満足度向上やビジネス成長にもさらに貢献できると考えています。
── 最後に、貴社と同様の課題を抱える企業へのメッセージをお願いいたします。
福永様 Helpfeelは、データに基づいてお客様の行動やニーズを把握し、それを運用に活かせるサービスです。データ分析画面でリアルタイムにデータを確認しながら、お客様の行動理解を深めることで、FAQは単なる問い合わせ対応ツールを超え、お客様との関係構築を支える重要な接点になります。成果を出したい企業ほど、ぜひデータを活かした顧客サポートに挑戦してほしいですね。
※所属・役職はインタビュー当時のものです。
