取扱アイテムが幅広く、問い合わせ対応が限界に達していた
── はじめに、お客様相談室の業務内容を教えてください。
赤峰様 お客様相談室は、お客様からの問い合わせに対応する顧客サービス推進課と、ネットストアの運用を行い、お客様の声を商品開発や改善に活かしていくCX推進課があります。
問い合わせは電話もしくはWebフォームからいただき、窓口の役割を担うパートナー社員、商品知識が豊富なプロフェッショナル社員、SV(スーパーバイザー)が協力しながら対応する体制です。また、店舗でスタッフがお客様からのご質問に対応することも多くあります。
── Helpfeel導入前、どのような課題がありましたか。
赤峰様 お客様からの問い合わせ数を減らしたいと考えていました。スタッフは一人ひとりのお客様にしっかり対応してくれていたものの、無印良品の商品アイテムは、70円の消しゴムから家具や衣料品、食品まで幅広い品揃えのため、問い合わせの内容もそれだけ多岐に渡ります。店舗やネットストアをご利用いただくお客様が増える中、人の力だけで問い合わせに対応する限界を感じていました。
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また、ネットストアをご利用のお客様は、本来であればWeb上で自己解決を望んでいるにもかかわらず、当時、電話での問い合わせが少なくないという課題も抱えていました。テクノロジーが進化し、問題が発生した際には即座に解決できることが当たり前となっている今、その期待に十分応えられていないというジレンマも感じていました。
こうした背景から、「寄り添うこと」だけでなく「問題解決」へとお客様とのタッチポイントの品質を拡大するという方針のもと、お客様相談室としても情報提供のあり方を再考しました。その過程で、FAQのもつ重要性を改めて強く認識するようになりました。
── これまでも他のFAQを運用していたと伺っています。以前のFAQは、どのように運用していたのでしょうか。
大渕様 お客様相談室ではなくEC部門がFAQを管轄していたため、FAQ記事をすぐに追加できず悩ましく思っていました。記事の追加や修正を依頼してから反映までに2週間ほどかかることもあり、イベントや季節商品に関する記事の公開が、お客様が必要とするタイミングに間に合わないことも起きていました。
桝本様 以前のFAQは検索もしにくく、お客様に十分な利便性を提供できていない課題もありました。検索窓にキーワードを入力すると、該当する記事が更新順でしか表示できなかったのです。お客様が求めている情報が上位に表示されず、見逃してしまうことも多かったのではないかと思います。
また、社内のスタッフもFAQを使いこなせず、問い合わせの度に時間をかけて調べたり、解決できずに商品担当に確認したりする手間がかかっていました。商品アイテムの種類が非常に多いため、一度問い合わせ対応した内容であっても覚えきれず、商品担当者に同じ質問をしてしまうこともあったんです。
大渕様 FAQから取得できるデータ分析も手付かずだったので、FAQを根本的に見直すためにECやIT部門と一緒に検討を始めました。ITの知識がなくともお客様相談室で運用できることや、お客様が欲しい情報が検索にヒットすることを重視し、最終的にはECおよびIT部門でHelpfeelを選定しました。
人気商品や店舗情報を充実させ、お買い物体験をサポート
── Helpfeelを導入し、どのようなことから運用を始めましたか。
大渕様 2024年3月に導入して最初に着手したのは、FAQのガイドライン作成です。以前は各部門が必要に応じてFAQ記事を作成しており統一感がなかったため、記事の構成や言葉づかいなどのルールを決め、誰が記事を作っても同じ品質になるようにしました。このガイドラインに沿って、以前のFAQ記事はHelpfeelへ移行する際にリライトしました。
桝本様 FAQの記事はネットストアの利用方法以外にも、店舗利用や商品に関する情報を充実させました。新しい記事の作成は、売上が高く問い合わせも多い商品カテゴリから優先的に着手しました。ヘルス&ビューティーなど特に人気を集めている商品カテゴリは、商品部やEC部門と相談し、商品ページにFAQ記事のリンクを貼る工夫もしています。売上などのデータに基づいたFAQの運用はこれまでできていなかったので、大きな変化を感じています。
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赤峰様 FAQ記事の公開まで2週間かかることもあった状態から、お客様に必要な情報をすぐに届けられるようになったのは大きな価値です。春先には「日焼け止めのよくある質問」を表示させるなど、季節や人気需要に応じて、お客様に最適なタイミングで情報を提供できるようになりました。
Helpfeel導入を機に、他部門との連携も密にすることができました。ガイドライン作成やリライトはITやEC部門の協力なくして実現できなかったと思います。現在はお客様の声が商品や情報の改善につながるよう、お客様相談室がハブの役割を果たし、EC部門やIT部門、販売部と連携する体制を築いています。
── Helpfeelのカスタマーサクセスへのご感想もお聞かせください。
大渕様 データ分析に基づいて、お客様がFAQで自己解決できていない部分を指摘していただけるので助かっています。その他にも豊富なアイデアをいただけるので、FAQがどんどん良くなっている手応えを感じています。
桝本様 カスタマーサクセスからいただいたアドバイスを参考にFAQの改善に取り組んでいると、他のアイデアが自然と浮かんでくるんです。多くのことを学ばせてもらっていますし、当社のFAQを一緒に「育てて」くれているおかげで、お客様の閲覧数は増え続けています。
問い合わせ数を70%削減。
売上拡大と顧客体験向上を両立し、社内からも注目
── Helpfeelを導入してからの具体的な効果を教えてください。
大渕様 問い合わせ数が激減しました。特にネットストアではアクティブユーザー数が昨年比150%以上に増える中、問い合わせ数が70%削減できた月も見られています。
桝本様 問い合わせが多い商品カテゴリの記事を優先的に作成したことが功を奏し、2024年10月の「無印良品週間(無印良品メンバー対象のキャンペーン)」の期間中も、売上の伸びに対して問い合わせ数を抑えられました。
赤峰様 「無印良品週間」キャンペーンの時期は問い合わせが急激に増え、回答までにお客様をお待たせしてしまうケースもあったのですが、Helpfeelを導入してからは発生しなくなりました。
また、FAQが充実したことで、入社から日が浅いスタッフでもHelpfeelを参照しながら問い合わせ対応ができるようになったのです。Helpfeelは新入社員の即戦力化にも寄与しています。
── 社内の皆様からのHelpfeelへの感想も、お聞かせいただけますでしょうか。
大渕様 操作性の高さは、他部門のメンバーからも好評です。他部門でも必要に応じてFAQ記事を作っているのですが、導入時にHelpfeelからいただいた操作説明動画を共有しただけで、問題なく使ってもらっています。ITの専門知識がなくとも直感的に操作できることは、商品カテゴリや事業が多岐に渡る当社にとってありがたいことです。
赤峰様 当社にとって大きなキャンペーンである「無印良品週間」で売上を伸ばし、かつ問い合わせ数を抑えられたことで社内でも注目されています。
私自身は、Helpfeelは今の時代に即した情報管理をしていると感じました。Helpfeelの記事を編集するHelpfeel Cosenseは、タグで情報を管理します。私も含め、ミドル世代以上は表計算ソフトで情報を構造化し、リストで管理するのが当たり前でしたが、デジタルネイティブ世代が増えるにつれ、情報管理の仕方も変わっていくのですね。こうした新しい技術に触れ、私たち自身の考えもシフトしていく必要があることを感じています。
お客様の問題解決を超える「感動体験」を届けたい
── 今後の展望をお聞かせください。
桝本様 究極の理想は、問い合わせをゼロにすることです。お客様が貴重な時間を割いて問い合わせする負担をなくし、快適にお買い物やサービスを利用していただけることを目指したいと思います。そのためには、FAQが不明点を解決するだけでなく、「本当に役に立った」「頼りになる」といったプラスアルファの価値をお届けしていく必要があると考えています。
大渕様 用事がなくてもFAQにアクセスしてしまうような「感動体験」を届けられるといいですね。Helpfeelから取得できるデータとともにお客様の声も分析し、より良いFAQ運用や商品開発につなげていきたいと思っています。今後もAIを含む、さまざまなテクノロジーを積極的に活用しながら、FAQの運用やお客様とのコミュニケーションの質を上げていきたいと考えています。
── 最後に、貴社と同様の課題を抱える企業へのメッセージをお願いいたします。
赤峰様 大規模なシステムでは、改修や刷新に数年単位の時間がかかることも多く、思うように物事が進まないケースも少なくありません。ですが、私たちはそれをただ待つのではなく、「今、お客様のためにできること」に自ら手を挙げ、他部署と連携しながら積極的に取り組んでいきたいと考えています。その第一歩を、Helpfeelで踏み出すことができました。
大渕様 お客様がさまざまなキーワードで検索しても、的確に必要な情報が届くという点は、他のサービスでは代えがたい大きな価値だと感じています。
Helpfeelに出会うまでは、「検索キーワードに完全に一致する記事を作成するのが当たり前」だと思っていました。そのため、似たような記事が増えてしまうことに漠然と悩み続けていましたが、Helpfeelの仕組みによって、私たちの“当たり前”が大きくアップデートされました。
桝本様 FAQが果たす役割に対する認識も変わりました。以前はお客様サポートにおける脇役のように感じていたのですが、電話やメール対応と同じレベルの重要性があると考えるようになりました。Helpfeelは、FAQを導入して終わりにはならない、改善を積み重ねる価値がある顧客対応サービスだと思っています。
