従来のFAQやチャットツールでは問い合わせ数を減らせず
── はじめに、カスタマーサポート部の業務内容を教えてください。
平野様 カスタマーサポート部は、オンラインストアのお客様との直接的な接点をもつ唯一の部門として、問い合わせ対応を統括するとともに、顧客体験をより良くする活動をしています。
当社のメインブランドは「ALOBABY(アロベビー)」という赤ちゃん向けのベビースキンケアブランドであるため、お客様の多くは30〜40代の子育て世代です。
問い合わせ経路は電話とメールがあり、外部のコールセンターへ一次対応を委託しています。カスタマーサポート部の具体的な業務は、エスカレーション対応、FAQの運用、お客様へのご案内内容の作成などです。問い合わせデータを分析し、開発やブランドマーケティングの部門に共有して商品の改善や新商品開発に役立てる活動も担っています。
── Helpfeel導入前、問い合わせに関してどのような課題がありましたか。
平野様 当社のオンラインストアでは、以前からFAQと自動応答チャットツールを導入していたものの、問い合わせ数の削減につながっていないという課題がありました。定期便の解約以外の問い合わせ内容としては、商品の使用方法や成分の確認、住所や支払い方法の変更といった自己解決できる内容が多かったのです。
問い合わせ数を減らすために、FAQやチャットツールの内容を編集したり、他部門に依頼してサイトのデザイン変更をしたりしていたのですが、成果につながっていませんでした。
これらの改善業務の負荷が高いことにも悩んでいました。FAQページの内容を変更する際は、サイトを管轄している他部門へ作業依頼をしなければならなかったのです。依頼してから実装されるまではタイムラグが発生するため、お客様の不明点や新商品に関する情報をスピーディーに提供できていませんでした。
また、当時頼りにしていたチャットツールは設置している3か所それぞれの編集作業が必要な仕様だったため、三重に手間がかかっていましたし、作業漏れのリスクも抱えていました。
── 課題を解決するために、社内でどのような検討をされましたか。また、最終的にHelpfeelを導入した決め手を教えてください。
平野様 FAQページやチャットツールの改善をしても思うような効果が得られなかったため、問い合わせ数の削減が期待できて、カスタマーサポート部で運用を完結できる外部のFAQサービスの導入を検討することにしました。
いくつかのFAQサービスへ問い合わせて比較検討した結果、Helpfeelは導入実績が豊富であることに加え、お客様が自分の言葉で検索して不明点を解決できる「意図予測検索」があることに惹かれました。
導入前後のサポートも心強く感じました。検討段階では、Helpfeel実装後の「SOLIA SHOP」の画面イメージを作成してくださったため、実装後の運用を想定できたのです。また、導入後はカスタマーサクセスによる伴走支援がある点も魅力でしたね。
Helpfeelであれば、お客様へ利便性と安心感をお届けできるとともに、問い合わせ数の削減が期待でき、カスタマーサポート部で運用を完結できることもわかったので、導入を決定しました。
データ分析を含むFAQ運用を部門内だけで完結できる体制を確立
── Helpfeelを導入し、どのようなことを目指して運用を始めましたか。
鈴木様 問い合わせ数を削減し、私たちがお客様の満足度向上に使う時間を増やしていくために、導入時に3つのKPIを設定しました。
- 問い合わせ発生率(問い合わせ件数÷注文数)
- 問い合わせ件数
- 自己解決可能な問い合わせの割合(自己解決可能な内容の問い合わせ件数÷注文数)
問い合わせ発生率の分母を注文数にしたのは、社内施策や広告運用によって注文件数が大きく増減するためで、注文数をベースに問い合わせ数を見ていくのが妥当だと判断しました。一方で、純粋な問い合わせの件数もウォッチしていくことも重要だと考え、KPIのひとつに定めました。そして、FAQによる効果を把握して改善につなげるために、自己解決可能な内容の問い合わせの割合も測定していくことにしたのです。
── 運用において、意識していることや工夫していることはありますか。
鈴木様 KPIをしっかり決めてから運用をスタートしたので、効果測定と改善活動がしやすい仕組みづくりを意識しました。
具体的には、一つひとつの問い合わせデータを分類しやすくなるように項目を設定し、データの振り分け作業の負荷を減らしています。その結果をカスタマーサポート部の週次ミーティングで確認し、問い合わせ数や検索数が急に増えた内容があれば、記事を追加するなどの対応をタイムリーにできる体制を整えています。
── Helpfeelの機能面で良さを感じる点はありますか。
平野様 FAQ記事を編集するHelpfeel Cosenseの画面は扱いやすいですね。記事を一覧で見られて、どの記事が最新なのかもすぐに把握できるので助かっています。FAQ全体を見渡して、次にどのような記事を追加すればよいかが考えやすくなりました。
鈴木様 Cosenseは文字の強調や画像挿入がしやすいですし、記事の表示順も簡単に操作できるので、楽しみながら記事作成ができています。それに何より、以前は他部門へ依頼していた記事の編集が特別な知識がなくてもカスタマーサポート部で行える点がありがたいです。記事を追加・改善するスピード感が劇的に向上しました。
また、分析ツールによって、アクセス数の推移や検索数が多いキーワードをチェックできるので、ユーザー動向を把握するのに役立っています。
── Helpfeelのカスタマーサクセスへのご感想もお聞かせください。
鈴木様 カスタマーサクセスの伴走のおかげで、データ分析に基づいた改善活動の質が大きく向上しました。
以前は、記事のセッション数や問い合わせ数の増減など、すぐに取得できる数字を頼りにアクションを取ることしかできていませんでした。
Helpfeel導入後は、カスタマーサクセスの支援によって、ユーザーが知りたい情報に辿り着けているか、ユーザーが求める情報とFAQ記事がマッチしているか、欲しい情報が見つからず離脱していないか、といったユーザー起点で効果測定してアクションを考えられています。
平野様 Helpfeelを導入してから、no hit(ノーヒット:ユーザーがキーワード検索をした際、検索結果に表示される記事が一つもないこと)の状況もチェックできるようになりました。
お客様が何を知りたかったのかが可視化され、対策をすぐに打てるようになったことで、お客様の不安を払拭できるようになったと感じています。
問い合わせ数を4割削減!対応に追われる日々から脱し、お客様に向き合う時間を創出
──Helpfeelを導入してからの具体的な効果を教えてください。
平野様 注文数が増えているにもかかわらず、問い合わせ数は40%近く削減できています。件数で見ると1,200件以上の問い合わせ数削減につながっています。また、問い合わせ発生率(問い合わせ件数÷注文数)も導入前は20%を超えていたところ、Helpfeelを導入した直後に18%台に下がり、導入から9か月後には12%台まで減少しました。
鈴木様 その他の観点では、複数のお客様から同じ内容の問い合わせをいただくことが大きく減りました。FAQページからの離脱率も下がっており、Helpfeelによってお客様が欲しい情報に辿り着けていることを感じます。
── その他の効果や、社内の変化などはありますか。
鈴木様 業務時間の使い方が変わりました。問い合わせ数が減ったことでエスカレーション対応の負荷が削減され、アウトソース先の管理、お客様ニーズの分析と他部門への共有、FAQページの改善などに充てられるようになりました。特に、お客様の声を他部門と共有し、商品やサービス改善に働きかける取り組みは、直接お客様と接点をもつ私たちにしかできないことです。
ただ、精緻にデータ分析できるようになった分、新たな課題が浮き彫りになるので、業務が楽になったというわけではありません。お客様の利便性や満足度向上のために、やるべきことがまだ多くあると思っています。
平野様 私も、自部門の時間の使い方が変わってきた実感があります。ショッピングガイドやFAQの運用をする時間を捻出できない悩みがずっとあったのですが、今はお客様視点で業務に向き合えていると感じます。
Helpfeelの検索データをもとにオンラインストアを改善し、より良いお買い物体験を届けたい
── 今後の展望をお聞かせください。
鈴木様 KPIのひとつである問い合わせ数削減をさらに進めて、お客様のための活動により多くの時間を使える体制を整えていきたいと考えています。
平野様 現在は、自己解決可能な内容の問い合わせも一定数いただいているので、お客様へのご案内やマイページの見直しがまだ必要です。FAQで検索することなくお問い合わせをいただくケースもあるので、FAQの認知もまだ高めていかなければなりません。
鈴木様 そのうえで、お客様が快適に楽しくお買い物をしていただける満足感の高いオンラインストアにするために、FAQの分析内容をサイト全体の改善につなげる活動も行っていきたいと思っています。
── 最後に、貴社と同様の課題を抱える企業へのメッセージをお願いいたします。
鈴木様 Helpfeelはツールの操作性が高いことはもちろん、カスタマーサクセスによる支援の手厚さが魅力だと思います。こうした特長により、当社では自部門内でFAQの運用を完結できる体制を実現できました。同様の課題を抱える企業にとって、FAQサービス導入時にはツールの使いやすさや支援体制の充実度が、大切な検討ポイントになると思います。
