コホート分析とは
コホート分析とは、顧客の行動を属性や条件などでグループ化して分析する手法です。「コホート」とは、共通の行動や経験を持つグループを指します。もともと心理学や社会学などで活用されてきた手法で、ビジネスにおいても活用事例が多いです。
例えば、ECサイトで同じキャンペーンに参加してアクセスした顧客を1つのコホートとします。実際に商品やサービスの契約に至った顧客の割合を調べれば、キャンペーン効果を定量的に把握できます。
性別や年齢、利用したデバイスなど属性別、あるいは過去1ヶ月間や過去1週間など期間の切り方によっても分析の解像度が変わります。目的に応じて適切なコホートを設定できれば、価値ある分析結果を得られて、施策立案に活用できます。
コホート分析でわかること
コホート分析では、サイトへアクセスした顧客の数や、実際に購買・契約に至った顧客の割合などがわかります。顧客の行動の傾向が明確になるため、課題の発見や施策の立案などに活かせるでしょう。
コホート分析で把握できる重要な情報の1つが顧客維持率(リテンション率)です。顧客維持率とは、新規顧客のうち再購入や再利用を行った割合を示します。顧客維持率は企業が顧客からどれだけ信頼されているのかを示す重要な指標です。
コホート分析ではリピーターと非リピーターを分類し、それぞれの行動パターンを明らかにできます。リピーターを増やすための施策を考える上で、多くの手がかりを与えてくれるでしょう。
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なぜコホート分析が重要なのか
コホート分析は、顧客のニーズに沿ったコンテンツを作る上で重要です。主に以下3つの点で重要と言えます。
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興味・関心や利用行動の差異を定量把握し、コンテンツやプロダクト改善に反映できます。 |
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効果の高い施策・セグメントを特定し、限られた人的・金銭的リソースを集中投下できます。 |
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施策実施後のコホート推移から成功・失敗要因を抽出し、次の改善施策につなげることができます。 |
このように、顧客ニーズの把握やリソース・コストの最適化、改善策の立案など、いずれにおいても重要な役割を果たします。
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コホート分析の具体的な活用シーン

コホート分析が役立つ具体的な活用シーンには以下の5つのようなものがあります。
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PV減少時の施策を立案する
サイトのPV減少の原因を特定して効果的な施策を立案するのにコホート分析が活躍します。コホート分析を用いれば、PV減少の詳細な情報を得られるからです。
例えば、「顧客を獲得した日からPVが減少するまでにかかった日数の傾向」を把握できます。PVが減少するタイミングで新しい記事を投稿すると顧客の維持につながるでしょう。SNSやメールなどで顧客にサイトへの訪問を促すなどの対策も効果的です。
また、コホート分析により、PV減少が特に顕著なページを特定できます。分析結果を利用すれば、誘導リンクを増やす、関連コンテンツを増やすなど対策を立てられるでしょう。
離脱の原因を分析する
コホート分析をすれば顧客が離脱した原因の分析と特定が可能です。例えば、コホート分析によって以下のような情報を得られます。
【コホート分析によりわかること】
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例えば、「新規キャンペーンで獲得した顧客が1ヶ月後に離脱するケースが多い」という傾向がわかったとします。キャンペーンで流入した顧客が期待するコンテンツを提供できなかったなど、1ヶ月の間に何が離脱の原因であったのかを特定しなければいけません。
離脱原因を特定するには、さまざまなコホートを設定するのが効果的です。例えば、契約したプランやサービスを購入した回数などから離脱の原因がわかる場合もあります。
キャンペーンの効果を把握する
コホート分析によってキャンペーンごとの効果を定量的に把握できます。効果がわかれば、リソースを集中すべき施策を判断するのに役立つでしょう。
例えば、「新規申し込みで最初の1ヶ月が無料になるキャンペーン」を実施します。コホート分析をすれば、従来の顧客とキャンペーンを経由した顧客で継続率の比較が可能です。キャンペーン経由の顧客の方が継続率が高ければ、施策は成功と判断できます。
また、コホート分析では、継続率だけでなく、利用頻度・購入回数・解約タイミングなどの行動データも追跡するのが一般的です。多角的なデータを活用すれば、キャンペーン効果を最大限に高められるでしょう。
新規顧客の目標獲得数を算出する
コホート分析で顧客の離脱傾向や原因がわかれば、新規顧客の目標獲得数の算出に役立ちます。新規顧客を獲得するには多くのコストをかけなければいけません。適切な目標を定められれば、無駄なコストを削減できます。
コホート分析により、どの程度の期間でどのくらいの顧客が離脱するのかがわかります。離脱率に加えて顧客の維持率や目標売上なども考慮した上で、新規顧客の目標獲得数を算出しましょう。
例えば、「1週間で顧客が3%減少する傾向」があるならば、任意の期間で発生する離脱数の目安がわかります。避けられない顧客の離脱を埋め合わせるために必要な新規顧客の数を割り出せば、適切な目標獲得数を設定できるでしょう。
解約率の調査をする
コホート分析で解約率を調査すれば、現状の把握や原因の特定、施策の立案などに役立ちます。
サービスの解約率は新規顧客ほど高いのが一般的です。新規顧客の解約を防ぐことができれば、全顧客の解約率を低下させられます。新規顧客の解約率の状況を把握するためにはコホート分析が効果的です。
例えば、今年度に登録した顧客と前年度に登録した顧客とで解約率を比較します。前年度と比較して今年度の顧客の解約率が低下しているならば、施策が成功していると判断できるでしょう。
解約率が改善されていない場合は、コホート分析で対策を考えます。例えば、解約率の高くなる時期にキャンペーンを実施するなどです。コホート分析の結果を用いれば、解約率の改善に有効な施策を見極められます。
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コホート分析のやり方2つ

コホート分析を実施するための主なやり方は以下の2つです。
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ビジネスでコホート分析に取り組むための具体的な方法を詳しく紹介します。
GA4を使う
Googleアナリティクス4の略称がGA4です。GA4の操作には一定の分析スキルが求められますが、直感的な画面設計により基本的な分析は誰でも行えます。まずはGoogleアナリティクスのアカウントを作成し、必要項目を入力して登録(無料)しましょう。
GA4でコホート分析をするには項目の設定をしなければなりません。コホート分析のために設定が必要な主な項目は以下の通りです。
【GA4のコホート分析の設定項目】
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設定が完了すると、分析結果が画面に自動表示されます。各項目について詳細なデータを得られるため、施策の立案や改善に活用できます。
Excelを使う
事前にデータを準備しておけば、Excelを用いてコホート分析ができます。例えば、「顧客が会員登録後に離脱した割合」についてコホート分析するならば、以下のデータが必要です。
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Excelでコホート分析をする流れは以下の通りです。
【Excelを使ってコホート分析をする流れ】
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ピボットテーブルは、Excelでデータを自動集計できる機能です。ユーザーが特定の期間においてどんな行動を取ったのかをピボットテーブルによって分析できます。
コホート分析だけでは見えない「顧客の本音」を引き出す方法

コホート分析は定量データの分析に適した手法であり、顧客の感情や本音といった定性的なデータの分析には適しません。コホート分析だけでは顧客の不満や悩みを完全に引き出すのは難しく、施策を考えるための情報が不足します。
コホート分析では難しい「顧客の本音」を引き出したいならば、Helpfeelの利用をおすすめします。Helpfeelは自己解決AIシステムで、顧客からの問い合わせにAIが自動で回答します。
FAQ検索ログには、顧客が「いつ」「どんな疑問を持ったか」などの情報が蓄積されるため、時間軸での分析に活用できます。顧客の生の声を集められるため、属性別に行動傾向の把握も可能です。さらに、FAQにより疑問を解消できたかどうかを分析することで、コンバージョン率や継続率への影響も把握できます。
顧客理解を深め、施策に確実につなげたい方は、ぜひコホート分析では見えにくい課題を補完できるHelpfeelの導入をご検討ください。
コホート分析を活用して施策の効果を見極めましょう
コホート分析は、PV数の減少や離脱率の上昇といった課題の原因を特定し、改善策を立てるのに非常に有効な手法です。顧客の行動を時系列や属性ごとに把握できるため、どの施策が効果的だったのかを定量的に検証できます。
分析結果をもとに改善を繰り返すことで、ユーザー体験の向上やリピート率の改善、売上アップにもつながるでしょう。ただし、コホート分析だけでは顧客の感情や本音といった定性的な情報までは把握できません。そのため、FAQシステムなどを活用して顧客の声を収集し、定量・定性の両面から分析を行うことが大切です。
コホート分析の結果と顧客のリアルな声を組み合わせることで、より効果的なマーケティング施策を立案できます。正しい方法でデータを活用し、持続的な成果につなげていきましょう。
