SECI(セキ)モデルとは

「SECIモデル」とは、従業員の暗黙知を形式知に転換し、組織内で管理・共有しながら新たな知識を創出するための手法です。
ここでは、SECIモデルに関する以下3つの項目を解説します。
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それぞれの概要を詳しく見ていきましょう。
暗黙知とは
暗黙知とは、経験や感覚、勘に基づいて身につく知識やノウハウのことを指します。言葉や文章で明確に説明することが難しく、個人の経験の中に蓄積されている知識が多い点が特徴です。
例えば、ベテラン営業が持つ交渉のコツや、熟練職人の手の感覚、デザイナーのセンスなどが該当します。
暗黙知は、本人の行動や経験から自然に形成されるため、マニュアル化や共有が難しい傾向があります。
形式知とは
形式知とは、文章や図表、数値などを用いて整理され、誰でも理解できる形にまとめられた知識のことを指します。暗黙知とは異なり、言語化や文書化が可能であり、組織内で共有しやすい特徴があります。
例えば、業務マニュアルや研修資料、社内FAQなどは形式知の代表例です。形式知は記録として残せるため、新人教育や業務の標準化にも活用されます。
ナレッジマネジメントとは
「ナレッジマネジメント」とは、個人の知識を組織で管理・共有し、事業成長や課題解決に役立てる方法のことです。知識の共有によって業務の属人化を防ぎ、生産性や業務効率を向上させることを目的としています。
SECIモデルは、ナレッジマネジメントを叶えるための手法の1つです。暗黙知を形式知へと転換し、それらを組み合わせながら新たな知識を生み出すサイクルを回すことで、より精度の高いナレッジ活用が可能になります。
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SECIモデルの4つのプロセス

SECIモデルのプロセスは、以下4つの通りです。
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それぞれの具体的な内容を見ていきます。
共同化プロセス(Socialization)
「共同化プロセス」では、業務やコミュニケーションを通じて従業員同士の暗黙知を共有します。
例えば「ミーティングで、それぞれの意見を交わし合う」「ベテラン従業員から新人従業員へ指導を行う」などが挙げられるでしょう。
あくまで暗黙知を共有するプロセスであるため、形式知への転換は行いません。個人の感覚や勘を、できるだけ相手が理解できるように共有することが大切です。
共有体験を通じて、従業員の信頼関係が構築されたり、コミュニケーションしやすい雰囲気が作られたりといった効果も期待できます。
表出化プロセス(Externalization)
「表出化プロセス」では、共同化プロセスで共有した暗黙知を形式知へ転換します。
マニュアルや図表、プレゼンテーションなどで個人の知識を言語化し、第三者が見ても分かりやすいようにまとめるのがポイントです。主観的な知識を客観的な形で表現しなければならないため、深い議論が必要な場合もあるでしょう。
個人の勘や感覚を形式知で表せるようになれば、より多くの人と知識を共有できるようになり、生産性や業務効率の向上につながります。
連結化プロセス(Combination)
「連結化プロセス」は、形式知として整理した知識を組み合わせ、新しい知識を作るプロセスです。
例えば「先輩から教えてもらった業務のコツを自分なりに整理する」「マニュアルにまとめたノウハウを現場環境に合わせて改善する」といった行動が当てはまります。
連結化プロセスを経ることによって、より汎用性・網羅性の高い知識にブラッシュアップされるため、「新しいアイデアが見つかる」「新しい方法で業務が効率化する」などの効果が期待できるでしょう。
内面化プロセス(Internalization)
「内面化プロセス」は、連結化プロセスで得た知識を個人が学習し、自分の暗黙知として習得するプロセスです。
例えば「新しく導入した業務プロセスを反復し、自分なりの工夫を生み出す」「新人トレーニングを受けた後、実務を通じて獲得した知識を自分のスキルとして吸収する」などがあります。
個人で新しい暗黙知を生み出すには、共有された知識やノウハウを繰り返すだけでなく、創意工夫を加えることが重要です。内面化が進めば、個人のスキルアップや組織全体のパフォーマンス向上につながります。
“個人の知識や経験を組織全体の力に変える”そのプロセスを体系的に示したのが「SECIモデル」です。Helpfeelなら、スムーズで簡単なナレッジの蓄積や共有を実現できます▼
SECIモデルのプロセスに必要な4つの場と具体例

SECIモデルのプロセスには、4つの場が必要です。
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それぞれの概要と具体例を詳しく解説します。
創発場
「創発場」とは、日常的なコミュニケーションを通じて知識を交換し合う場のことです。
主な具体例は以下の通りです。
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創発場では、それぞれの意見を尊重し、相手を批判しないことが大切です。違う視点を持った従業員同士で意見を交わすことで、新たな知識が生まれやすくなります。
対話場
「対話場」とは、個人が持つ暗黙知を言語化し、組織内で共有可能な知識へと変換するための場です。メンバー同士が意見交換や議論を行うことで、経験や考え方が整理され、暗黙知が形式知へと変換されていきます。
ブレインストーミングやワークショップ、社内ミーティングなどを通して、個人の経験や考えを整理し、他者が理解できる形にしていきます。です。こうした対話の場では、参加者が自由に意見を出し合える環境が重要になります。
主な具体例は以下の通りです。
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対話場では、目的を明確にし、雑談で終わらないようにすることが重要です。具体的な表現や言葉で知識を共有することで、お互いの成長や学びを促せるようになります。
システム場
「システム場」は、形式知同士を組み合わせて新しい知識を創出する場のことです。事前に資料やプレゼンテーションなどを準備し、共有事項を具体的に示しながら対話を進める必要があります。
主な具体例は以下の通りです。
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オンラインと対面のどちらでも実施できますが、リアルタイムで資料を共有・更新するのであれば、オンラインの方が効率的でしょう。
実践場
「実践場」とは、共有された知識を実際の業務や活動の中で活用し、個人の経験として身につけていく場です。SECIモデルにおいては、形式知を体験や実務を通じて習得する「内面化プロセス」にあたります。
主な具体例は以下の通りです。
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例えば、研修で学んだ内容を実際の業務で試す場面や、マニュアルを参考にしながら作業を行う場面などが該当します。実践を通じて知識は理解だけでなく経験として蓄積され、新たな暗黙知が生まれます。このプロセスを繰り返すことで、組織の知識は継続的に発展してくでしょう。
SECIモデルの必要性

SECIモデルは、企業内に蓄積された知識やノウハウの属人化を防ぎ、組織全体で活用するために重要な考え方です。
特に製造業やIT企業では、個人の経験やスキルに依存した業務が多く、ノウハウが特定の社員に集中してしまうケースが少なくありません。その結果、担当者が異動や退職をした場合に業務の引き継ぎが難しくなり、組織としての生産性が低下するリスクがあります。
また、近年はリモートワークやDXの普及により、対面や口頭でのナレッジ共有が減少し、組織内で知識を共有する仕組みづくりがより重要になっています。
SECIモデルを活用して個人の暗黙知を形式知として整理し、組織全体で共有できれば、知識を継続的に活用できる環境を構築できます。その結果、業務の効率化や人材育成の促進、組織全体の生産性向上につながるでしょう。
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SECIモデル導入時の課題と解決方法

SECIモデル導入時によくある課題は、以下の3点です。
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それぞれの課題を確認し、的確にSECIモデルを導入するための参考にしてください。
形式知の習得に時間がかかる
SECIモデルを導入する際の課題の一つが、形式知の習得に時間がかかる点です。マニュアルやナレッジ資料として整理された情報があっても、それを実際の業務で活用できるレベルまで理解するには一定の時間が必要です。
特に専門性の高い業務では、文章だけでは理解しづらい場合も多く、経験を通じて知識を身につける必要があります。そのため、形式知を共有するだけでは十分とは言えません。
OJTや研修、実践の機会を組み合わせることで、知識を業務の中で活用できる状態にしていくことが重要です。形式知を段階的に学べる仕組みを整えることで、知識の定着を促し、SECIモデルの効果を高めることができます。
また、個人ごとにスキル差があるため、習得スピードにばらつきが出る点にも注意が必要です。習得に大きな個人差が出ると、途中で挫折してしまう場合もあるでしょう。
組織全体で均一に知識を習得するためには、一時的ではなく継続的な取り組みとしてSECIモデルを導入することが重要です。
暗黙知を共有するメリットが少ない
従業員によっては、自分が苦労して習得したノウハウや技術を共有することに抵抗を感じる場合があります。情報共有で得られるメリットを具体的にイメージできないのが原因と考えられるでしょう。
そのため、組織全体で知識を共有することの重要性を従業員に理解してもらうことが大切です。ノウハウや技術の共有に対してインセンティブを提供したり、評価制度を見直したりといった対策も求められます。
社内研修や合宿、ミーティングなどで対話場を設け、知識を共有しやすい環境を整えるとよいでしょう。さらに、ナレッジをスムーズに共有・蓄積できる仕組みを整え、共有しやすい環境をつくることも大切です。
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明確なゴールがない
SECIモデルは、各プロセスを繰り返しながら継続的に知識の精度を高めていく取り組みであるため、明確なゴールが見えにくいという特徴があります。また、部署やチームによって蓄積される知識が異なるため、統一した目標を設定しにくい点も課題です。
取り組みを継続するためには、部署やチームごとに中間目標を決め、定期的に振り返る時間を設ける必要があります。
さらに、SECIモデルを実践した従業員の成果を評価する制度を作るとよいでしょう。目標と評価を明確にすることで、取り組みの継続性を高められます。
SECIモデルを活用するためのポイント

SECIモデルを活用する2つのポイントは、以下の通りです。
意識すべきポイントを確認し、SECIモデルを有効活用しましょう。
ナレッジ共有の体制を整える
組織全体で知識を管理・共有するためには、体制を整える必要があります。まずは、経営層がSECIモデルの導入を明確に打ち出し、従業員とともに体制を整備する姿勢を示すことが大切です。
ナレッジ共有の体制づくりにはさまざまな方法があるため、自社の傾向に合わせて選択するとよいでしょう。例えば、暗黙知が蓄積されやすい企業は、対話場を増やして共同化プロセスを促進する工夫が求められます。
多くの形式知を有する企業であれば、連結化プロセスを重視し、ディスカッションやミーティングを通じて新たな知識を生み出すといった運用がおすすめです。
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ツールやシステムを導入する
SECIモデルのプロセスを効率化するためには、ツールやシステムを導入するのがおすすめです。
例えば、社内FAQシステムや文章管理ツール、マニュアル作成ツールなどは組織内のスムーズな情報共有に役立ちます。社内ポータルサイトや社内SNSを構築してコミュニケーションを活性化し、暗黙知を共有・表出化しやすい環境を整えるのもよいでしょう。
ただし、ただし、ツールの種類は多岐にわたるため、自社の業務内容や運用体制に合ったものを選定することが重要です。トライアルなどを活用しながら、最適なツールを見極めましょう。
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SECIモデルの導入事例

SECIモデルは、さまざまな業界や業務領域でナレッジ共有の仕組みとして活用されています。ここでは、代表的な3つの導入事例を紹介します。
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ここでは、それぞれの活用方法を詳しく解説します。
導入事例①生産現場
製造業の生産現場では、熟練作業者の技術や経験が暗黙知として個人に蓄積されているケースが多く、ノウハウの属人化が課題となるケースが少なくありません。そこでSECIモデルを活用し、作業者が持つ知識を組織全体で共有できる仕組みを構築する企業が増えています。
例えば、ベテラン作業者が持つ作業のコツや注意点を現場で共有し、その内容を標準作業手順書として整理する取り組みが行われています。さらに、その手順書を関係者全体で確認・改善しながら更新していくことで、知識を組織の資産として蓄積できます。
こうしたサイクルを繰り返すことで、暗黙知を形式知として共有しやすくなり、品質向上や作業効率の改善につながります。
導入事例②設計開発現場
設計開発の現場でも、SECIモデルを活用して知識共有を進める取り組みが行われています。設計業務では、エンジニアの経験や判断基準などの暗黙知が個人に蓄積されやすく、情報が分断されると開発効率が落ちやすいのが課題です。
そこで、設計担当者だけでなく製造や品質管理などの関係部門も含めた対話の場を設け、設計ノウハウや改善点を共有する仕組み作られています。さらに、設計情報や技術資料をシステム上でまとめて管理し、知識を形式知として誰でも参照できる状態にしていきます。
こうした取り組みによって、個人の経験に依存していたノウハウを組織全体で活用できるようになり、開発の品質向上や業務効率化につながります。
導入事例③IT企業のオフィス環境
IT企業では、エンジニアや開発チームが持つノウハウやトラブル対応の経験が個人に蓄積されやすく、情報共有が課題になりがちです。そこでSECIモデルを活用し、社員同士が知識を共有しやすいオフィス環境や仕組みを整備する企業が増えています。
例えば、社内の勉強会やミーティングを定期的に開催し、開発の知見や成功事例を共有する場を設けます。あわせて、ナレッジ共有ツールや社内データベースを導入し、トラブル対応履歴や技術情報を蓄積することで、知識を形式知として整理します。
こうした環境を整えることで、社員は時間や場所に関係なくナレッジへアクセスでき、組織全体で知識を活用しやすくなります。結果として、開発効率の向上やチーム全体のスキル向上につながります。
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SECIモデルの実践にはナレッジ共有・検索システムの活用を
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まとめ:SECIモデルを実践して社内ナレッジを活用しよう

SECIモデルは、属人化しやすい知識を組織内で共有し、業務の効率化や生産性の向上を実現するための手法です。
しかし、個人の知識を組織全体で均一に共有するのは容易なことではありません。社内ナレッジをスムーズに管理・共有するには、適切なツールやシステムを導入する必要があります。
ナレッジ共有・検索システム「Helpfeel Back Office」は、よくある問い合わせやマニュアルを集約・整理し、常に最新の情報を共有するために役立ちます。SECIモデルを実践する際には、ぜひHelpfeel Back Officeの導入を検討してみてください。

