クレームの定義と発生要因
クレーム(claim)とは、本来は直接的に損害を被った場合に、「(損害賠償を)請求する」「(権利を)主張する」といった意味の英語です。ただし、日本では、ユーザーの期待値が下回ったときの、「苦情」という意味で使われることが一般的でしょう。発生要因は下記のように、企業起因と顧客起因のものに大別できます。
<クレームが発生する主な要因>
- 企業起因:商品・サービスの不具合、接客のミス、社内ルールの押し付け
- 顧客起因:ユーザーの誤解・勘違い
なお、英語で苦情を意味する言葉は、「コンプレイン(complain)」です。ホテル業界やブライダル業界ではクレームではなく、コンプレイン(略称:コンプレ)が使われる傾向があります。
コールセンターにおけるクレーム対応のコツ
コールセンターにおいてクレーム対応をする際には、いくつかのコツがあります。ここでは、コールセンターにおける、6つのクレーム対応のコツについて解説します。
相手の話によく耳を傾け、要約する
クレーム対応の基本は、「傾聴」です。ユーザーの話を最後まで真摯に聞き、内容を正確に把握しましょう。その後、あらためてユーザーの主張を「要約」して事実関係を再確認し、双方の認識にずれがないようにしてください。
この傾聴と要約は、今後の対応の円滑化に効果的です。場合によっては、ユーザーが「自分の主張を正しく理解してもらえた」と感じ、この段階で落ち着きを取り戻すこともあります。
NGワードに注意する
クレーム対応において、言葉遣いは重要です。少なくとも、下記のような否定的だったり感情的だったりするNGワードは、避けるべきでしょう。
<クレーム対応におけるNGワード例>
- でも
- だって
- ですから
- お言葉ですが
- 絶対に
- 普通は
- 何度も申し上げているとおり
クレーム対応においては、課題を抱えたユーザーの心情に寄り添う表現を使用するように心掛けてください。
オペレーターの育成を行ってサービスを均質化する
クレームに対応するには、オペレーターの育成とマニュアルの整備もコツといえます。経験豊富なオペレーターのノウハウを共有し、社内向けFAQやマニュアルを活用することで、サービス品質を均一に近づけることができるからです。
定期的な振り返りやケーススタディを活用した研修を行えば、オペレーターのスキル向上と組織全体の対応力の底上げにつながります。
お詫びと感謝の言葉を伝える
クレーム対応の際に、お詫びと感謝の気持ちを伝えることもコツのひとつです。
謝罪だけでなく、「貴重なご意見をいただき、ありがとうございます」と感謝を伝えれば、ユーザーに良い印象を残すことができます。
なお、お詫びと感謝の言葉は、対応の最初と最後に伝えるようにしてください。
ユーザーの音声を録音し、振り返りを行う
ユーザーの音声を録音して、品質向上のために後で振り返りを行うこともクレーム対応のコツといえるでしょう。具体的には、音声録音によって下記のような効果が期待できます。
<クレーム対応における音声録音のメリット>
- クレーム対応中の言葉遣いやトーン、問題解決プロセスの改善点を具体的に把握できる
- 録音内容をケーススタディとして共有することで、オペレーター全体のサービススキルが向上する
- 会話内容を記録することで自社の正当性を判断できたり、裁判の際の証拠にできたりする
なお、ユーザー音声の録音内容は、個人情報保護の観点から適切に管理し、目的外利用をしないように注意してください。
悪質または理不尽なクレームには毅然と対応する
ユーザーからの悪質なクレームや理不尽な要求は、カスタマーハラスメント(カスハラ)と見なして、冷静かつ毅然とした対応が求められます。カスハラはオペレーターの業務に影響を与え、心身不調やそれに伴う休職・離職の原因にもなるからです。
▼電話でのカスハラ対応方法についての詳しい解説は、下記のコラムをご覧ください。
コールセンターにおけるクレーム対応の手順
コールセンターにおいて、クレーム対応はどのような順番で行うのが適切なのでしょうか。コールセンターにおけるクレーム対応の手順は、下記のとおりです。
1.状況把握に努める
まずは、ユーザーの話をさえぎらずに傾聴し、クレームを入れた意図や状況を把握しましょう。注意したいのは、解決を急ぐあまりに、要点を外してしまうこと。的外れな回答をすると、さらなるクレームにつながりかねないので注意してください。
また、長い時間待たせてしまった場合には「お待たせして申し訳ございません」と、必ずお詫びをする必要があります。
2.クレームに対して対応策を提示する
続いて、ユーザーが抱える課題に対して、的確な対応策を提示します。ポイントは「的確」であることと、「課題を抱えたユーザーの気持ちに寄り添う」ことです。迅速に対応策が示せるのが最適ですが、調整に時間がかかる場合は、どのぐらいで提示できるのかを伝え、その時間を必ず守るようにします。
注意したいのは、自社ができる範囲を超えた対応策を約束してしまうこと。さらなる要求につながりかねないので、安請け合いはしないようにしてください。
なお、悪質かつ理不尽なクレームに対しては、責任者に判断を委ねるか、毅然と拒否するといった対応をしましょう。
3.お詫びと感謝を伝える
提示した対応策で承諾を得たら、再度「このたびはご迷惑をおかけし、申し訳ございませんでした」とお詫びをしましょう。その上で、自社商品・サービスの利用とわざわざ問い合わせをしてくれたことに対して、「貴重なご指摘ありがとうございました」と感謝を伝えます。
真摯なお詫びと指摘への感謝は、企業に対するユーザーの信頼度を高め、場合によってはクレーム前よりもリピート率を向上させることにつながります。
4.クレーム対応の内容を社内共有する
クレームとその対応策は、今後の商品・サービスを改善するための貴重な情報です。対応完了後もそのまま放置せず、ナレッジとして社内で共有するようにしてください。
ナレッジを社内で共有することで、同種のクレームがあった場合にも均一な対応ができ、サービスの平準化と再発防止につながります。
コールセンターのクレームを減らすためのポイント
コールセンターのオペレーターを疲弊させるクレームは、できる限り減らしたいところです。では、どのようにすればクレームを減らせるのでしょうか。
ここでは、コールセンターに来るクレームを減らすためのポイントについて解説します。
ユーザーの待ち時間を減らす
コールセンターのクレームを減らすポイントのひとつに、ユーザーの待機時間を減らすことが挙げられます。一般的に、人は長く待たされることでストレスを感じますが、不満を抱いてクレームを伝えたいユーザーの場合は、さらに不満が高まるおそれがあるからです。
クレームが悪化しないようにするためには、ユーザーに具体的な待ち時間を伝えるか、場合によっては折り返すようにしてください。
電話対応マニュアルを定期的に見直す
クレーム発生時におけるオペレーターの電話対応マニュアル(トークスクリプト)を定期的に見直し、対応品質を高めておくのも、クレームを減らすためのポイントです。電話対応マニュアルが的確であれば、オペレーターの負担も軽減できます。
電話対応マニュアルの形式は、一度の回答で解決する問い合わせなら、Q&A形式がいいでしょう。ユーザーの状況によって対応が変わるクレーム対応については、フローチャート形式にすることをおすすめします。
▼電話対応マニュアルの作成についての詳しい解説は、下記のコラムをご覧ください。
ユーザーが自己解決できるようにする
課題を抱えたユーザーが、コールセンターのオペレーターに頼らず自己解決できれば、課題の自己解決には、AIを活用したチャットボットやFAQサイトなどが有効でしょう。
ユーザーが一般的な問い合わせ内容をチャットボットやFAQサイトを利用して自己解決できれば、人間はイレギュラーな質問などに回答するだけで良くなるので、オペレーターの負担軽減や採用・育成コストの削減につながります。
VOC分析を定期的に行う
VOC分析とは、Voice of Customer(ユーザーの意見や要望、クレーム)を分析して企業活動に活かすことです。VOC分析を定期的に行うことで、ユーザーのニーズやクレームが発生する原因を特定でき、商品・サービスの改善を効率的に行えるようになります。
VOC分析によって商品・サービスが改善されれば、結果としてクレームは減少するはずです。企業としての生産性向上やユーザーの満足度向上にもつながるため、定期的に行っておきたいところです。
コールセンターのクレームは、FAQシステム「Helpfeel」で減らそう
コールセンターにおいて、スムーズなクレーム対応の実現には、ナレッジの共有が重要です。オペレーターがすぐに必要なナレッジが見つけられれば、正確で迅速な対応が可能となるため、負担軽減につながるでしょう。
Helpfeelが提供するFAQシステム「Helpfeel」は、ユーザーごとに異なる検索語句や曖昧な言葉のほか、抽象的で感情的な表現を、最先端の検索テクノロジー「意図予測検索」によって、最適な回答へと導きます。98%という高い検索ヒット率は、コールセンターのオペレーター向けFAQとして活用されています。
手厚い伴走体制でサポートするのも、弊社の特徴です。新たなシステムを導入する際、メンテナンスコストが懸念材料となるかもしれませんが、すでに社内FAQがある場合は、コンテンツの移行や情報の整理も弊社が行います。ですので、工数をかけることなく移行可能です。
「Helpfeel」導入後は、カスタマーサポートがFAQの利用状況の分析や改善アクションの提案など、効果を高めるために支援します。システムの導入から分析・改善まで、一貫してサポートできるのが弊社の強みです。
「コールセンターにおいてオペレーターの負担を軽減したい」または「使いやすい社内FAQを導入して業務効率の改善や顧客満足度の向上を目指したい」とお考えの方は、お気軽にご相談ください。